2014/11/10

配膳(世界遺産登録記念・日本料理の魅力)(8)

日常的な食事の構成としては、ご飯(白米やその他の穀物を炊いたもの)、汁物、おかず3品(主菜1品と副菜2品)という組み合わせを取り「一汁三菜」と言う。これらを好みにより交互に食べる。この際、口の中で味を混ぜる事も多く、御新香のような塩気の強いものと、ご飯とを合わせて食べる。その後に味噌汁を啜るなど「口内調味」を行う。こうすることで、それぞれを単独で味わうより美味しい、とされる。

 

一方、懐石料理・会席料理のように改まった席では、一品(あるいは一膳)ずつ順番に料理が供されるのが普通である。西洋料理には「コース」という概念があり、何段階かに分けて異なる種類の料理(前菜、スープ、主菜など)を食べるが、日常の日本料理ではそのような構成をとらないのが一般的である(日常食を提供する食堂・レストランも同様)。また食器や食事室の統一性にも配慮が払われる。

 

盛り付けの作法

盛付けの美しさは、日本料理の大きな特徴である。調理した食材を彩りよく並べるだけでなく、器の質感や絵柄なども吟味し、季節や風情を盛り込むことも調理の一つとされる。

 

箸を右手で扱う右利き向けの配膳が基本となっている。ご飯は左、味噌汁は右。古来より「左が上位」と扱う文化(左大臣は右大臣より上位など)のため、主食のご飯を左に置くのが正しい。

 

尾頭付きの魚の盛り付け方は、頭を左、腹を手前側に向ける(ただしカレイに限っては、頭を左にして腹を上にしたり白い面を表にして、腹を手前にしたりする場合がある)

 

魚の切り身の盛りつけ方は、魚の種類によって皮を上にする「皮表」とすべき場合と、身を上にする「身表」とすべき場合があるが、殆どの魚は皮表で盛りつける。したがって皮を上側、身を下側にして盛りつける(鮭などで薄い切り身となっている場合には、皮を奥側、身を手前側とする)

 

これに対しウナギ、アナゴ、ハモなどは身表とする。長い食材は、長方形の皿に盛り付ける。大根おろしや刻みねぎなど、付け合せは手前側に置く(「前盛り」と呼ぶ)。日本料理の食事作法は、他文化の食事方法とは大きく異なる点が多い。

 

食器

食器は漆器、陶器、磁器など、多くの種類を併用する。器には多彩な絵付けが施され、盛り付けに工夫が凝らされる。特に陶器は造形の制限が緩やかで、濃い色の皿・角型の皿、花や果実の形を模した器など、伝統的な欧米の料理の食器とは大きく異なる。近隣国で陶磁器生産の歴史がある中国・韓国と比べても、丸皿を多用し伝統的な絵付けの陶磁器を用いる中華料理や、金属製の器や絵付けのない白磁の食器を主とする韓国料理に比べ、異彩を放っている。

 

また、陶磁器の普及までは木椀を使用しており(九州では、陶磁器の普及により木椀を用いる習慣が殆ど失われた一方、東北地方では近代にいたるまで木椀を多用する文化が残っていた。また社会階層により普及の時期は異なる)、漆器の多用はその名残であると言える。家庭では、ご飯茶碗・箸は各人専用のものを用いる習慣がある(「属人器」と言う)

出典 Wikipedia

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