初の東北旅行だ。
地元の愛知在住時は、東北とか北海道は遥か遠方の地だったが、東京に来てからはうんと近くなった。こうして、いよいよ「東北旅行」が現実味を帯びた。ところが、現実は長野や山梨の方にばかり足が向いてしまい、東北にはなんとなく行きそびれたまま、遂に10年が経過した。実のところ、この旅行も早くから予定していたものではない。最初は千畳敷カールを予定していたのが、諸般の事情で行きそびれてしまったことから、瓢箪から駒の如くに急遽決定した東北旅行だった。
東北で紅葉の名所で思いつくのは鳴子峡、猊鼻渓、厳美渓など。そして紅葉はさて置いても、世界遺産の平泉も必見である。このようなスケジュールを元に、初日は中山平温泉駅で下車して鳴子峡の紅葉の絶景を堪能し、お目当ての鳴子温泉へと移動する。
ホテルの広い大浴場、露天風呂とも誰もいない貸切状態で、鳴子温泉のツルツルとした湯が気持ち良い。本来は鳴子温泉に泊まりたいところだったが、次の目的地の岩手までの移動時間を考え、観光に影響のない夜の間に目的地に近い一ノ関に移動した。鳴子温泉で有名な「滝の湯」に寄りたいところだったが、電車の時間が微妙で一つずらすと1時間以上も先になってしまう。これだと逆に時間が余ってしまうが、温泉街とはいえ一杯飲み屋のような店も見当たらないことで、残念だがここは諦めた。
この日は、どこも食事付きの旅館が満室だったため、一関駅に近いホテルを予約していた。ホテルのレストランで刺身の三点盛り、前沢牛タンステーキ、十割そばなどのセットと地酒を堪能し、蔵を改造したバーで飲み直して眠りに就く。
2日目は猊鼻渓に行く予定だったが、ここで大きなミスが発覚した。一ノ関駅から猊鼻渓行の電車は「9:25」発のハズで、それに合わせてホテルの朝食バイキングで腹ごしらえをし、駅に向かったのである。ところが駅の電光案内版を見ると、猊鼻渓行は「10:40」と1時間以上も先にしか来ないではないか!
(なんじゃ、こりゃ!)
検索した「Yahoo!」の乗換案内の画面を見せながら
「ここに出ている9時25分発の電車は?」
と駅員に詰め寄ると
「これは・・・夜の9時25分ですけど・・・」
確かに、よく見ると「21:25」となっているではないか!
何度も繰り返し見ていながら、なぜこんなアホな勘違いに気付かなかったのかと大いに悔やまれる。が、いかに悔やんだところで、1時間以上先にしか電車は来ない事実が変わるわけはないから、予定を見直すしかない。バスの案内所へ行くと、猊鼻渓に行くにしろ平泉に行くにしろ、いずれにせよバスは10時発になるらしい。それでも、何も娯楽のない田舎で10時40分まで電車を待ってはいられないから、10時のバスで平泉を回るコースに変更した。それというのも、ここへ来て天気予報が外れて雨がぱらついてきたことがあって、見上げる空は黒い雲に覆われていた。こんな不穏な天候で船下りを楽しめるとは思えないし、なにより苦労して猊鼻渓まで行ったはいいが、雨でお目当ての船下りが中止にでもなったら目も当てられぬ。そこから、また1時間も電車で待たされた利した挙句、下手をすれば1日丸潰れなんてことにもなりかねないのである。
こうして厳美渓行のバスに乗車し、厳美渓~達谷窟毘沙門堂~そして毛越寺と立て続けに見学。毛越寺浄土庭園の紅葉はまさに見頃で、時折晴れ間も覗き始めた天候も味方し素晴らしい景観が楽しめた。
メインの中尊寺へ行く前に、門前にあるレストランで前沢牛ステーキ、十割そばなどの名物盛りだくさんの「岩手黄金ランチ」と地酒を堪能し、中尊寺へ足を踏み入れる。
長い登り坂を上がりきったところで、ようやくにして奥州藤原氏三代の栄華の象徴とも言うべき「金色堂」を拝むことができた。
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