2006/06/08

ラヴェル ピアノ三重奏曲(第3楽章)

 


この作品は対位法の師であるアンドレ・ジェダルジュに献呈され、初演は1915128日にパリのサル・ガヴォーで開催された独立音楽協会の演奏会において行われた。同年、パリのデュラン社によって出版されている。自筆譜は現在、テキサス州オースティン大学が所有している。

 

ピアノ三重奏曲を作曲するにあたって、ラヴェルはこのジャンル自体が作曲上の困難を持っていることを意識していた。どうやってピアノと弦楽器の対照的な音色を調和させるか、またどうやって3つの楽器のバランスを取るか、特にチェロを聴き取りやすくするためには、どのように楽器と対置すれば良いかという点である。音色の調和については、ラヴェルは管弦楽的な書法を持ち込むことで対処した。各楽器を極めて広い音域において大胆に用いることで、通常室内楽には見られないような豊かなテクスチュアを作り出したのである。

 

また彼はトリル、トレモロ、ハーモニクス、グリッサンド、アルペジオといった色彩効果を自由に用いているが、これは3人の奏者に高い技術を要求することになった。一方、テクスチュアの明快さと各楽器のバランスを保つため、ヴァイオリンとチェロを2オクターヴ間隔で配置し、その間にピアノの右手のパッセージを挟む書法を頻繁に用いている。

 

3楽章 パッサカーユ Passacaille, Très large

パッサカリアは、バロック音楽に起源を持つ反復される低音の旋律を伴う形式である。この曲の場合は冒頭の8小節がそれに当たり、主題は第2楽章に由来するものである。ストレートな展開が力強いクライマックスに達し、静まっていく。

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