2006/06/20

東京の水

 東京へ出て来てから

(果たして、料理が口に合うかどうか・・・?)

という心配が、まったくなかったといえば嘘になる。

これまで、生まれ育った愛知も学生時代の数年間を過ごした関西も、それぞれ伊勢湾や豊浜、或いは瀬戸内海といった漁港に恵まれ、食べ物が殊のほか美味しい土地柄だった事もあり、そんなワタクシからすれば東京の「」のイメージは率直なところ、あまり期待出来そうなものではなかったのである。

とはいえ今のご時世だけに、そんなに食の地方色はないだろうという気持ちと、なにせ天下の東京だから多種多様の店があるのは間違いないから、心配とはいっても無論、深刻なものではなかった。

元々、醤油が大好きなワタクシは、毎日のように食べていた野菜炒めにも焼き魚にも醤油は欠かせない食生活だったし、和風おろしスパゲティなどにはパスタが黒くなるくらい大量の醤油をかけたりしていたくらいだから、赤味噌がないのは寂しいとはいえ、醤油の味付けは大歓迎であった。

ところが・・・である。実際に東京に出てみたら、毎日飲むビールや発泡酒が何故かやたらと不味いのだ・・・

(東京の酒は、なんでこんなに不味いのだろうか・・・)

と不思議に思い続けたものだったが、同様にコンビ二やスーパーなどの麦茶や緑茶など日本全国どこで飲んでも同じ味のはずの物まで、幾らか不味く感じて仕方がない。そして飲食店などで出てくる不味い水やお茶を飲みながら、ハタと原因に思い当たった。

(そうか・・・そもそも、東京の水が不味いのか?)

言うまでもなく、どの飲料といえど原料は水であるからその肝心要の水が不味くては、どう加工したところで旨くなる訳がない。確かに、名古屋や関西にいた時は水にしろお茶にしろ、遥かに旨かったのは間違いないのである。ビールや発泡酒、或いはコンビ二で売っているような有名メーカーの飲料が、それぞれどこの水で作られているのかイチイチチェックしているわけではないが、確かに水が不味いせいだと結論付けるのは理に適っていると思えた。

しかしながら、そう簡単に割り切れないところもあるのだ。そもそも水が不味ければ、不味い水で作られる食べ物こそはより不味くなりそうなものなのだが、これがナントモ不思議な事に、食べ物に関しては決して不味くはないのだ。

それどころか、どれも思っていたよりも結構旨いのだから益々わけがわからない。この怪現象を一体、どのように説明付ければよいのだろう。

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