2016/03/06

神産み(日本書紀)

第五段の本文では、伊弉諾尊・伊弉冉尊は大八洲国を産み終えたあと、海、川、山を産み、次に木祖(きのおや)である句句廼馳(くくのち)、草祖(かやのおや)である草野姫(かやのひめ)を生んだ。またの名は、古事記と同様に野槌とある。そして両神ともに日神を生み、その神が大日霎貴(おほひるめのむち)である。次に月神を生み、次に蛭児を生んだ。三歳になっても脚が立たなかったので、天磐櫲樟船(あめのいはくすふね)に載せて風のままに放ち棄てたとある。最後に素戔嗚尊を生んでいる。

第五段の一書(一)では、伊弉諾尊が、左手で白銅鏡(ますみのかがみ)を持ったときに大日霎貴が成り出で、右手で白銅鏡を持ったときに月弓尊が成り出で、また首を回して振り返ったときに素戔嗚尊が成り出でたとある。そして大日霎貴と月弓尊は、ともに性質が明るく麗しかった。そこで天下(あめのした)を照らすようにさせた。素戔嗚尊は残虐な性質だったので、降して根国を治めさせたともある。

第五段の一書(二)では、日月がすでに生まれ、次に蛭児を生んだが三歳になっても脚が立たなかった。次に素戔嗚尊を生んだ。天磐櫲樟船を生んだ。すぐにこの船に蛭児を載せて、流れのままに放ち棄てた。次に火神の軻遇突智(かぐつち)を生んだが、伊弉冉尊は軻遇突智に焼かれて死ぬ間際、臥しながら土神(つちのかみ)の埴山媛(はにやまひめ)と水神(みづのかみ)の罔象女(みつはのめ)を生んだ。そして軻遇突智が埴山姫を娶り、稚産霊(わくむすひ)を生んだ。この神の頭の上に蚕と桑が生じ、臍の中に五穀が生じたとある。

第五段の一書(三)では、伊弉冉尊が火産霊(ほむすひ)を生んだ時、子のために焼かれて亡くなろうとする時に、水神の罔象女と土神の埴山媛を生み、また天吉葛(あめのよさつら)を生んだとある。

第五段の一書(四)では、伊弉冉尊が火神の軻遇突智を生もうとする時に、熱に苦しんで嘔吐し、これが金山彦(かなやまひこ)となり、小便が罔象女(みつはのめ)となり、大便が埴山媛(はにやまひめ)となったとある。

第五段の一書(五)では、伊弉冉尊が火神を生んだ時に焼かれ神去られた後、熊野に葬られた旨が記載される。

第五段の一書(六)では、伊弉諾尊と伊弉冉尊はともに大八洲國(おほやしまのくに)を生んだ後、以下の神を生んでいる。火神により伊弉冉尊が焼かれて死に、伊弉諾尊は号泣して流した涙が啼澤女命(なきさはめ)となる。そして十握劒(とつかのつるぎ)で軻遇突智を斬り、剣の鍔から滴った血がそそいで神となった。

その後、伊弉諾尊は黄泉に入り、伊弉冉尊と話し合った。古事記と同様の展開があり、泉津醜女や泉津日狭女(よもつひさめ)に追われて逃げ切り、古事記と同様に伊弉冉尊と絶縁を誓った。その後、古事記と同様に禊に移り、以下の神を生み出す。

左の眼を洗った時生まれた神を天照大神
右の眼を洗った時生まれた神を月讀尊
鼻を洗った時生まれた神を素戔嗚尊

第五段の一書(七)では、伊弉諾尊が軻遇突智を斬り、三つに分断した。また、軻遇突智を斬った時に、その血がそそいで天八十河(あめのやそのかは)の河原の多くの岩々を染めた。磐裂神と根裂神がその血から成り出でた神である。その子が磐筒男と磐筒女であり、その子の經津主神(ふつぬし)である。

第五段の一書(八)では、伊弉諾尊が軻遇突智を斬って五つに分断し、それぞれが五つの山祇(やまつみ)となった。

第五段の一書(九)では、古事記と同様に伊弉冉尊の話し合い、伊弉諾尊は暗かった為一片之火(ひとつび)を灯した。すると、伊弉冉尊の身体は膨れあがっていて、その上に八色雷公(やくさのいかづち)がいた。伊弉諾尊は驚いて逃げた。すると、八色雷公が追って来た。その時、伊弉諾尊は道端の大きな桃の木の下に隠れ、桃を八色雷公に投げつけると、皆逃げていった。ただ、この桃に古事記の様な名は無い。

第五段の一書(十)では、黄泉の国での伊弉諾尊と伊弉冉尊のやり取りの後、伊弉諾尊が吐いた唾之神(つばのかみ)が速玉之男(はやたまのを)となり、伊弉諾尊が「縁を切ろう」と誓い掃った神が泉津事解之男(よもつことさかのを)となる。共に熊野三山に関連する神である。そして泉平坂にて、伊弉諾尊に黄泉の道の番人が伊弉冉尊の伝言を伝える。その直後、菊理媛神(くくりひめ)がまた申し上げる。伊弉諾尊はこれを聞いて誉め、その場を去って古事記と同様に禊に移る。

以上が日本書紀の神産みである。次は本文の第六段・誓約に繫がる。
出典 Wikipedia

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