2016/09/07

衝撃(真夏の悪夢part2)



●82日(火)
 コーラックの効果は覿面で、明け方に溜まっていたものが一気に吐き出されるように、便が通った。

 (やった!
 これで、すっきりするだろう・・・)

 想定では、溜まっていた食中りらしき原因物質が外に出れば、痛みもなくなるだろうという期待があった。

 ところが、確かに腹全体を覆っていた圧迫感はかなり減じたものの、依然として痛みは殆ど変りなく続いている。

 病院に行って経緯を話すと、当然ながら

 「薬の効き目がないように感じたため、コーラックを飲んだ」

 のくだりで

 「2回飲んだだけでは、効き目がないかどうかはわからないですがね・・・」

 と、顔を顰めた。

 「ただ、便通によって、圧迫感はかなり減りましたが・・・」

 「でも痛みが変わらないということは、全部出切っていないのでしょう・・・結局、原因となっているものが出てないと思いますね・・・」

 しばらく頭を抱えていた医師は

 「私なりの作戦があったのですが、こうなったら方針転換しますか。
 もっと強い薬を出しますので、それが効くかどうか・・・効き目がなかったら血液検査なり、別の手を考えましょう。
 明日、また来てください」

 と、違う薬を処方してもらった。

 職場からは

 (どうなっているのか?)

 と再三メールが来ており、また火の車の現場の状況も気になるので

 (明日辺りから、そろそろ出ないとな・・・新しい薬が効いて、痛みがなくなれば良いが・・・)

 と期待した。

 が、薬の効果はやはり表れず、またもや寝苦しい夜が続いた。

8月3日(水)
 3日続きの通院。

 「その後、どうですか?」

 「どうも、変化ないですね・・・」
 
 「うーむ、困りましたね・・・検査といっても、この前にひと通りやりましたしねー。
 血液検査をしてみますか・・・」
 
 翌日の木曜は病院が休みで、結果は明後日に出るとのこと。
 
 「そろそろ、職場にも復帰しないといけないので・・・」
 
 というと、医師は顔を顰めた。
 
 「無理をしない方が良いと思いますよ・・・色々と、ご事情はあるのでしょうが、その体調では・・・」
 
 と、クギを刺された。
 
 とはいえ職場は人手が足らず、特に全体マネージメントが出来る人間は限られていただけに、いつまでも休んではいられない。
 
 自転車に跨るだけでもかなりの痛みだったから、道路の振動や歩行にも困難が伴う身に電車通勤は苦痛だったが、なんとか職場に復帰した。
 
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●8
4日(木)
 この日は病院が休みのため昼前に出勤できたが、痛みが一向に改善されない身に満員電車は無理だから、時差出勤とする。
 
 (案外、仕事に集中すれば、痛みを忘れられるかも・・・以前にも、そんなことがあったよな・・・)
 
 という淡い期待もあったが、今回ばかりは逆に痛みで仕事に集中どころではなかった。
 
 斜向かいの席の事務員からも
 
 「大丈夫ですか?
 顔色、悪いですよ」
 
 と心配げにのぞき込まれ
 
 「そんなに顔色悪い?」
 
 と聞き返す始末で、自分では意識していなかったが
 
 「すごく・・・」
 
 と言われてしまった。
 
 傍目には、病人であることが一目瞭然のようだ。
 
 後から振り返れば、まったくトンデモナく無謀なことだったが、この時はまだ病名や原因など何もわかっていなかっただけに仕事は勿論、普通に食事をしたりビールを飲んだりしていた!
 
 もっとも、さすがに痛みで食欲がなくなり、アルコールへの欲求も減退して飲む量はかなり減っていたが、それでも好物の枝豆や刺身を肴に2本は飲んでいた
 
 もっとも、何を飲み食いしても旨くなかったが。
 
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●8
5日(金)
 血液検査の結果が出る日。
 
 診察室に入ると、早速
 
 「その後、どうですか?」
 
 「あまり変わりませんね・・・」
 
 「やっぱりね・・・そうでしょうねー」
 
 というと、医師が改まったような姿勢になった。
 
 「一昨日の血液検査の結果が出ました。
 結論から言うと、非常に悪い数値が出ており、入院が必要と思われます・・・」
 
( ´Д)はぁ?
 
 なにせ生まれてこの方、風邪以外の病気をしたことがなく、定期健診でも毎年のように、ほぼ「オールA」の「健康自慢」だったから、この時も
 
 (案外、悪くないハズ・・・)
 
 などと過信していたことは否めない。
 
 それだけに、いきなり「入院」と言われても、なかなかピンと来なかった。
 
 「白血球数が基準値上限の2倍にもなっているし、この「C反応性蛋白(CRP)」というのは痛みを表す数値で「20」を超えたら入院が必要()とされますが、これが「25」にもなっています(基準値は「0.3以下」)
 
)後で調べたところ、この数値の指標は以下の通りだった。
 
5を超えたら自宅療養。
10を超えたら大事をとって入院したほうが良い。
20を超えたら病院内で個室管理。
30を超えたら生命の危機」
 
 この時に「25」で電車で出勤して仕事をしたり、食事やアルコールも普通にやっていたのは非常にやばかった
 
 無知とは、恐ろしいものである。
 
 「これを見ただけでも即入院が必要と思いますが・・・精密検査をした方がいいですね」
 
 よもや、そこまで悪い結果が出るとは想像していなかっただけに、ショックは大きかった。

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