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話は、こうしてテセウスのところまでくる。
1.トロイゼンの王の娘から生まれていた彼は成長し、かつてアイゲウスがサンダルと刀をその下に隠した例の大岩を押しのけ、そのサンダルと刀を手にして真実の身の上を知ってアテナイへと向かう。
2.先ず、旅人を鉄棒で殴りつけ殺していた男を退治し、その棒を奪い取る。
3.第二に、松の木を折り曲げて旅人に持たせて、力のない旅人を投げ飛ばしていた男を、逆にテセウスは巨大な松の木を曲げて男に持たせ、吹き飛ばして退治する。
4.第三に、怪物から生まれた牝の猪を退治する。
5.第四に、通行人に自分の足を洗わせ、その途中で水中にけ飛ばして巨大な亀の餌食にしていた男の足をひっつかんで、水中に放り投げて亀の餌食にして退治。
6.第五に、通行人に相撲を挑んでは相手を殺していた男を逆に頭上高く持ち上げ、大地に叩き付けて退治する。
7.第六は、二つのベッドを並べておいて旅人をそれに寝かせ、小さい人は大きいベッドに寝かせて叩いて引き延ばし、大きい人は小さいベッドに寝かせ、はみ出た部分を鋸で切り落としていた男を退治する。
8.テセウスがアテナイに来た時、コリントスで夫のイアソンに復讐を果たしたメデイアが、アテナイに来てアイゲウスの妻に収まっていた。
9.メデイアは賢い女でテセウスを素早く見破り、このままだと自分の子「メドス」の立場(このメドスの存在は、アルゴー船伝説にある)が危ういと察知し、メデイアは一計を案じてテセウスを亡き者にしようとする。
10.メデイアはテセウスを、あのクレタのミノスの息子までも倒していたマラトンの暴れ牛の退治に行かせるが、テセウスはその牛を退治して戻ってくる。
11.メデイアは毒入りの飲み物を調合してアイゲウスに渡して、これをあの危険な男に飲ませるように、とけしかける。
12.テセウスはその飲み物をアイゲウスから受け取り、そのお返しということで持っていた例の刀を贈り物として差し出す。
13.アイゲウスはそれを見てすべてを悟り、テセウスの手にあった杯をたたき落とし、テセウスを我が子と認知してメデイアを追放する。
14.「アルゴー船」物語の方では、その後このメデイアの子メドスは英雄となって小アジアを平定して、母の名前をとって「メディア王国」を建設したとなり、メデイアの方は密かに故郷コルキスに戻って、王の座を奪われていた父のために王権を取り戻してやるという話になっている。
15.一方テセウスの方は、例のミノタウロスへの七人の少年・少女の餌食の一人となって、クレタに渡ることになる。
16. この時船は、喪に服するように真っ黒の帆で出ていく習わしであったが、アイゲウスはもしテセウスが生きて戻れた時には、白い帆に変えて戻ってくるように言い置いて出航させる。
17.クレタに来た時、ミノスの王の娘アリアドネはテセウスを見て恋心を抱き、もし妻としてくれるなら援助しようと持ちかけ、テセウスの方も同意する。
18.アリアドネは、迷宮の建造者であったダイダロスの教えに従って彼に糸玉をわたし、テセウスはそれを解しながら中に入っていく。そして迷宮の最も奥にミノタウロスを発見してこれを退治し、糸玉を手繰りながら外に出てきた。
19.夜のうちにアリアドネを伴い、他の犠牲として連れてこられた少年・少女ともどもクレタを出ていった。
20.そしてナクソス島で一休みしていた時、神ディオニュソスがアリアドネを見初めて彼女を攫ってしまい、レムノス島に彼女を連れていった。
21.テセウスは、居なくなったアリアドネを探すが見つけられず嘆き悲しみ、アテナイに着いた時も帆を白に張り替えるのを忘れてしまう。
22.アテナイで待っていたアイゲウスは、船が黒い帆のまま入ってくるのを見てテセウスが死んでしまったものと思い絶望し、そこから海に身を投げてしまった。それ以来、この海は「アイゲウスの海=アイガイオン=エーゲ海」と呼ばれるようになった。
23.テセウスがアイゲウスの跡を継いで、アテナイを支配することになった。
別のテセウス伝説
エウリピデスの悲劇『ヒッポリュトス』の題材
1.テセウスは、ヘラクレスとともにアマゾンを攻め、その女王を奪った。
2.アマゾンは、アテナイに攻めて来て「アレスの丘」辺りに陣を敷いたが、テセウスはそれを撃退した。さらに、その奪った女王から「ヒッポリュトス」を得た。
3.その後、テセウスはミノスの娘パイドラ(つまりアリアドネの妹)と結婚することになった。
4.このパイドラは、義理の息子ヒッポリュトスに道ならぬ恋をしてしまい、それが露見したところでヒッポリュトスに襲われたとの嘘の証言をして死んでしまう。舞台は、あの「トロイゼン」ということになっている。
5.テセウスはヒッポリュトスを呪い、ポセイドンによって破滅させてしまう。
ケンタウロスとの戦いと冥界行き、およびテセウスの最後
1.
テセウスの友人ペイリトスが、ヒッポダメイアと結婚する時、親族であったケンタウロス族も招待されたが酒を飲んで酔い、花嫁を犯そうとして暴れたのを二人して退治したというもの。オリュンピアのゼウス神殿の西破風、さらにアテナイのパルテノン神殿のメトープに、その彫刻があって有名。
2.この「テセウスとペイリトス」の二人は、テセウスは自分の妻としてはスパルタにいた12歳のヘレネを二人して奪い、ペイリトスのためには冥界の女王ペルセポネを妻にせんものと冥界に赴き、しかしハデスに騙されて椅子に座ったところ、それから離れることができずさらに大蛇に巻き付かれてしまった。
3.テセウスだけはヘラクレスに助け出されたけれど、ペイリトスは冥界に留め置かれてしまった。
4.テセウスが冥界に出かけた留守中、「カストルとポリュデイケス(後の双子神)」が、スパルタ人と共にアテナイを攻めヘレネを奪回していき、カストルたちはアテナイの王としてメネステウスを置き、そしてテセウスが冥界から戻って来た時テセウスを追い払い、やむなくテセウスはリュコメデスのもとに行ったけれど、彼はテセウスを深い穴に落として殺してしまった。
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