2023/06/20

パウロ(3)

キリスト教最大の伝道者

パウロは最初はサウロと呼ばれ、キリスト教徒を徹底的に迫害していました。しかし、イエスの声を聞いたことをきっかけに劇的に回心(改宗)しました。その後、迫害を受けながらも布教の最前線に立って活躍し、キリスト教最大の伝道者と言われるまでになりました。紀元65年頃、皇帝ネロに処刑されて殉教しました。

 

キリスト教徒を迫害していたパウロ

サウロ(のちにパウロ)は、ステファノを石打ちの刑にすることに賛同していた若者です。

小アジア(アジアの西端部にあり地中海と黒海に挟まれた半島で、トルコ共和国の主要部を占める地域となっています。古代ギリシア人はアナトリアと呼んでいました)のタルソスで、裕福な家庭に生まれ育ったサウロは、エルサレムでファリサイ派(ユダヤ教グループの一つです。ユダヤ教の律法(戒律)を厳格に解釈し、それを全力で実践しようとした人々のグループです。ファリサイ派はユダヤ教のエリートグループで、当時のユダヤ人を指導していました)の学校で学んだ(サウロは、エルサレムのラビ(=先生)、ガマリエルのもとで教育を受けました)ユダヤ教徒でした。そのため、ファリサイ派とは異なるイエスの教えを信じる人たちを異端者とみなし、撲滅しようと、日々奔走していました。

 

サウロは、ステファノの殺害に賛成していた。

-エルサレムの教会に対する迫害-

その日、エルサレムの教会に対して大迫害が起こり、使徒たちのほかは皆、ユダヤとサマリアの地方に散って行った。しかし、信仰深い人々がステファノを葬り、彼のことを思って大変悲しんだ。一方、サウロは家から家へと押し入って教会を荒らし、男女を問わず引き出して牢に送っていた。

新約聖書/使徒言行録81節~3節(新共同訳)

 

さて、サウロはなおも主の弟子たちを脅迫し、殺そうと意気込んで大祭司のところへ行き、ダマスコの諸会堂あての手紙を求めた。それは、この道に従う者を見つけ出したら、男女を問わず縛り上げエルサレムに連行するためであった。

新約聖書/使徒言行録91節~2節(新共同訳)

 

イエスに出会ったサウロ

ステファノが石打ちの刑で殉教した翌年(紀元38年頃)、サウロはシリアのダマスコのキリスト教徒を逮捕するため、ダマスコに向かっていました。ダマスコでキリスト教徒を見つけたら男だろうが女だろうが縛り上げ、エルサレムに連行するつもりでした。

 

しかし、サウロがダマスコの近くまで来た時、突然、サウロに天の光が降り注ぎました。そして、まばゆい目がくらむような光の中に現れたのは、パウロの大敵であるイエスでした。

 

イエスは、なぜ自分を迫害するのかをサウロに尋ねました。そしてダマスコに行って、次の指示を待つよう告げました。イエスが立ち去ると、サウロは自分の目が見えなくなっていることに気づきました。そして、同行者に手を引かれて町に入りましたが、3日間飲み食いすらできませんでした。

 

サウロが旅をしてダマスコに近づいたとき、突然、天からの光が彼の周りを照らした。サウロは地に倒れ

「サウル、サウル、なぜ、わたしを迫害するのか」

と呼びかける声を聞いた。

 

「主よ、あなたはどなたですか」

と言うと、答えがあった。

「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。起きて町に入れ。そうすれば、あなたのなすべきことが知らされる。」

 

同行していた人たちは、声は聞こえても、だれの姿も見えないので、ものも言えず立っていた。サウロは地面から起き上がって、目を開けたが何も見えなかった。人々は彼の手を引いて、ダマスコに連れて行った。サウロは三日間、目が見えず、食べも飲みもしなかった。

新約聖書/使徒言行録93節~9節(新共同訳)

 

サウロの回心

3日後、ダマスコのキリスト教徒アナニアは、神の命令に従い不本意ながらもパウロの目を治しました。この経験によってパウロは回心し、イエスはメシアであり神の子であると信じるようになりました。

 

目が見えるようになったサウロは、その場でアナニアより洗礼を受け、ダマスコに滞在しました。そして、数日後にはダマスコの会堂で「イエスこそ神の子である」と、人々にイエスのことを説きました。サウロはイエスに出会ったことで、キリスト教徒を迫害する立場から劇的に回心し、熱き信者として生まれ変わったのです。

 

ところで、ダマスコにアナニアという弟子がいた。幻の中で主が「アナニア」と呼びかけると、アナニアは「主よ、ここにおります」と言った。すると、主は言われた。

「立って、『直線通り』と呼ばれる通りへ行き、ユダの家にいるサウロという名の、タルソス出身の者を訪ねよ。今、彼は祈っている。アナニアという人が入って来て自分の上に手を置き、元どおり目が見えるようにしてくれるのを、幻で見たのだ。」

 

しかし、アナニアは答えた。

「主よ、わたしは、その人がエルサレムで、あなたの聖なる者たちに対してどんな悪事を働いたか、大勢の人から聞きました。ここでも、御名を呼び求める人をすべて捕らえるため、祭司長たちから権限を受けています。」

 

すると、主は言われた。

「行け。あの者は異邦人や王たち、またイスラエルの子らにわたしの名を伝えるために、わたしが選んだ器である。わたしの名のためにどんなに苦しまなくてはならないかを、わたしは彼に示そう。」

新約聖書/使徒言行録910節~16節(新共同訳)

 

そこで、アナニアは出かけて行ってユダの家に入り、サウロの上に手を置いて言った。

「兄弟サウル、あなたがここへ来る途中に現れてくださった主イエスは、あなたが元どおり目が見えるようになり、また聖霊で満たされるようにと、わたしをお遣わしになったのです。」

 

すると、たちまち目からうろこのようなものが落ち、サウロは元どおり見えるようになった。

そこで、身を起こして洗礼を受け、食事をして元気を取り戻した。ダマスコで福音を告げ知らせるサウロは数日の間、ダマスコの弟子たちと一緒にいて、すぐあちこちの会堂で、「この人こそ神の子である」と、イエスのことを宣べ伝えた。

新約聖書/使徒言行録917節~20節(新共同訳)

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