ベートーヴェンの一番有名な肖像画は、1823年に描かれた物ですが、フェルナンド・ヴァルトミューラーという人が書いた物。
弟子のシントラーの記録によると、この肖像画を描いた日、家政婦がベートーベンの大好物「マカロニチーズ」を作ったのですが、それが不味かったために一日中不機嫌で、画家にも八つ当たりしていたと書いています。
「老家政婦が、ベートーヴェンの大好物であったマカロニとチーズを黒焦げにした時の怒りの表情」と言われているらしい。不器用なベートーヴェンは、作曲中は他の一切の用事が出来ず、ピアノの上には大量のカビの生えたパンが皿に乗り、ピアノの下では簡易トイレが大爆発していたと言われ、雇ったメイドは片っ端から逃げ出したと言われる。気難しいうえに、気に入らないことがあると家政婦を「ババア」呼ばわりしたり、来客の前で食卓の食べ物を手掴みで投げつけたり、腐った生卵をぶつけたりして家政婦達には相当嫌われていたらしい。いつも、二人は大喧嘩をしていた。食卓に腐った卵を出したといっては卵を投げつけられ、来客中に行儀が悪かったといっては、鍋に入ったスープを浴びせ掛けられ、大変だったらしい。
大好きな散歩にも必ず五線譜を持ち歩き、レストランに立ち寄ると何時間でも思索に耽り、あげくに食べもしない食事の料金を払う。部屋が散らかると、そのまま次の部屋へ引っ越し生涯に79回、引っ越しをした。計算すると年1.4回弱のレートとなり、平均滞在時間は約8カ月半。引っ越し後、大事な楽譜が大量に紛失していて大騒ぎをしたが、実は引っ越しの手伝いをした家政婦が食器などを包む梱包材として、楽譜を使っていたことが判明。彼女は、そんな偉大な作曲家だとは知らなかったし、そんなに大事な物だとは知らなかった。
自分も必ずしも楽譜通りには演奏しないのに、楽譜通りに弾かない演奏家は激しい非難を浴びせた。朝と言わず夜と言わず、ピアノをガンガン弾きまくるので、隣人から相当迷惑がられていたようでもあったが、基本的に引っ越し魔だった。
ある時、ベートーヴェンは風光明媚な郊外の家を借りた。友達が訪ねていくと
「一番景色の良い方向に、窓がないんだよ」
と言うので、不安になった友達が数日後にまた訪ねてみると、部屋には壁土が散乱し、壁にぽっかり空いた穴を前にして、大家とベートーヴェンが大喧嘩をしている最中だった。
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