この作品に「ジュノーム」という愛称をつけたのは、第3版のケッヘル番号(モーツァルトの作品番号)の改訂を行ったアインシュタイン(※物理学者のアインシュタインではない)であり、第2版までのケッヘル番号まではその様な愛称がなかった。
だが、全く自明のことであるかのように「ジュノーム協奏曲」という愛称をつけたアインシュタインは、何を根拠にしてその様なネーミングをしたのかには全く触れていない。つまりアインシュタインによって、このK271の協奏曲は突然のように「ジュノーム協奏曲」という名前をつけられたのであり、モーツァルト研究の権威というか、神様のような存在であるアインシュタインが「ジュノーム協奏曲」と名付けたのならば、いったい誰がその事に異を唱えられるか。結果として、それ以後のケッヘル番号の編集作業ではこのネーミングは疑問の余地のないものとして受け継がれ、今日ではすっかり「ジュノーム協奏曲」という愛称は定着してしまったのである。
それでは、肝心のジュノームとは何者なのか?
それが、まったくもって分からなかった。
ところが、ついにこの謎に終止符が打たれる時が来た。その第一報はニューヨーク・タイムスの記事で
「A Mozart mystery has been solved at
last.」(ついに、モーツァルト・ミステリーの1つが解決した)
と報じられた。
この根拠となったのは、ローレンツという研究者がウィーンの古文書館を調査して発見した事実である。ただし、この記事はあまり詳しいものでなく、その後ローレンツ自身の発表によって詳細が明らかにされるのだったが、その発表までにローレンツの元には詳細を尋ねるメールが山のように舞い込んだと言われる。
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