2015/09/19

戸隠山(天の岩戸)

戸隠山は奇岩・急崖・絶壁が連続する八方睨を主峰とする表山と、北西に高く聳える高妻山(2353m)などの裏山に分かれ、戸隠神社が鎮座する修験の聖地である。

 

日本神話幽遠の昔、天照大御神が天の岩屋にお隠れになり天下は暗闇となった。  八百萬の神々は天の安河原に集まり、岩戸開きの策を練っていた。その時、天宇受売女命(あまのうずめのみこと)の巧みな踊りと八百萬の神々のどよめきに、何事が起こったのかと天照大御神が岩戸を少し開けられた。その一瞬を逃さず、怪力無双のタジカラオノミコトが、岩戸を取って遠くへ投げ捨てた。一方の戸は九州宮崎県の高千穂町へ、そしてもう一方の戸が信濃の国、戸隠へ。岩戸が山となり「戸隠山」と呼ばれるようになった、というのが現在一般に信じられている伝説である。

 

「昔、天照大神が、弟の素戔鳴尊の乱暴を怒って天の岩屋へお入りになってしまわれました。世の中は真っ暗闇になり、色々の悪い神々が出てきて、恐ろしいことや悲しいことが次々に起こりました。大勢の神様たちは岩屋の前に集まって、天照大神に岩屋から御出でになっていただくには、どうしたらいいだろうかと相談をしました。その時、戸隠神社の中社にお祀りされている天八意思兼命が

 

「良いことを思いついた。私たちが、岩戸の前で踊ったり歌ったりして楽しそうにしていると、きっと天照大神様は

『あの者たちは、何をしているのだろう』

と、お覗きになるに違いありません・・・」

 

と、知恵を絞って考えを出されました。

 

天八意思兼命のお考えに基づいて、神様たちは準備をした。まず鶏を沢山集めて鳴かせる。火之御子社に祀ってある天鈿女命(あめのうずめのみこと)は大変踊りの上手な神様で、この神様が伏せた桶の上にのって足拍子も面白く「とんとん、とととん、と」と踊る。大勢の神様も「やんや、やんや」と手拍子を打ち、これに応えた。天八意思兼命が「コケコッコー」と長鳴鶏の鳴き声を真似ると、沢山の鶏は一斉にコケコッコーと鳴き出した。天鈿女命の踊りがあまりに面白いので、神様たちも「わっははは」、「おっほほほ」と笑ったり、釣られて踊り出した。

 

岩屋の中の天照大神は何事が起きたのかと、そっと岩戸をあけて外をご覧になられた。その時、岩戸の蔭で待ち構えていた天手力雄命(奥社にお祀りしてある神様)が岩戸に手をかけ、一気にガラガラと渾身の力を込めて岩戸を開けてしまわれ、天照大神を岩屋からお出しした。世の中は再び明るくなり、悪い神々は逃げ去った。天手力雄命は、また天照大神が岩戸にお入りになっては大変だと、岩戸を「エイッ」と持ち上げ下界へ投げ捨てて仕舞われた。岩戸は宙を飛んで、日本の大凡真ん中に落ちた・・・・・・この時、天手力雄命が放り投げたのが「戸隠山」であるという話は、日本の神話として昔から語り伝えられており、この岩戸伝説と同じような話が戸隠の古い記録である「戸隠山顕光寺流記」や「戸隠本院昔事縁起」にも記されている。

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