発作が治まったタイミングを見計らって
「おやおや・・・どうかしましたか?
あんまり懐しくて、驚いた?」
あんまり懐しくて、驚いた?」
「なんのことで・・・こっちは名古屋などには、サッパリ縁がない・・・」
という強がりとは裏腹に、タコオヤジは目が泳ぎ明らかに動揺していた。
東京で、いきなりかつての通勤コースの駅名を読み上げられたのだから、まあ驚くのも無理はない。
ましてや「脛に傷持つ身」であれば尚更だ。
「おやおや・・・まだ、恍けようと?
ついさっき『くそだ~け』という言葉まで、聞こえてしまったのですがね・・・非常に特徴的な方言と思うけど、あくまでまだ名古屋に縁がないと?」
ついさっき『くそだ~け』という言葉まで、聞こえてしまったのですがね・・・非常に特徴的な方言と思うけど、あくまでまだ名古屋に縁がないと?」
一瞬、タコオヤジの顔に狼狽が走ると、またしても激しくむせ始めた。
「私に・・・一体、何か用なのかな?
私は誰にも邪魔されず、一人で静かに飲むのを好むのだがね・・・」
私は誰にも邪魔されず、一人で静かに飲むのを好むのだがね・・・」
「もう、あれから10年以上経つんだねー」
「・・・」
「名鉄XX線、新名古屋駅から2駅目から乗ってくる怪しいオッサン・・・今頃、どーしてるか?
不思議なことに毎日、同じ車両に乗って来てね・・・」
不思議なことに毎日、同じ車両に乗って来てね・・・」
「・・・」
「あんまり気持ちわりーから、毎日時間をずらしたりしたんだけど、2時間くらいずらしても必ずちゃんと同じ車両に乗ってくるんだよね。なぜか。
さらには、不思議とどんなに車内が混雑していても、いつの間にかすぐ傍でこちら向きになっているんだ・・・数か月間、ずっとね・・・世間じゃ、こういうのストーカーって呼ぶらしいが、あれはれっきとした犯罪らしいね・・・」
さらには、不思議とどんなに車内が混雑していても、いつの間にかすぐ傍でこちら向きになっているんだ・・・数か月間、ずっとね・・・世間じゃ、こういうのストーカーって呼ぶらしいが、あれはれっきとした犯罪らしいね・・・」
「ほう・・・
それは・・・そういうのは、殆どが勘違いとか被害妄想の類らしいね・・・」
それは・・・そういうのは、殆どが勘違いとか被害妄想の類らしいね・・・」
「被害妄想ねー・・・つまり、ブスに限って痴漢だと騒ぎ立てるあの手合いと同類とでも・・・?」
「へー、それは面白い喩えだねー」
先ほどから、逃げるタイミングを計っているようなタコオヤジだったが、元々酒乱の気があるせいか、その種の人種によくあるように、酒の勢いで次第にふてぶてしさを露わにしつつあった (-。-)y-゜゜゜
「被害妄想?
冗談は、止して欲しいね。
盗人猛々しいとは、このことだな。
冗談は、止して欲しいね。
盗人猛々しいとは、このことだな。
さっきも言った通り、数か月に渡ってだよ。
勘違いや被害妄想なんぞでないことは、被害者たる自分が一番よく知っている。
勘違いや被害妄想なんぞでないことは、被害者たる自分が一番よく知っている。
いや、実際のところ「一番よく知っている」のは加害者だろうがね。
なんせ被害者たる自分には、そこまで執拗なストーキングの「動機」がサッパリわからんが、加害者、すなわちストーカーには犯罪者なりの「動機」があるんだろうからね」
「で・・・アンタは、私に何が言いたいのかね?」
「そいつは、いつもxxx駅で下車していたな・・・不幸中の幸いは、こっちの下車駅の前より先にストーカーが下りて行ったことだったが・・・」
「わしゃ、そんな駅名は聞いたことがない!
それに、ストーカーなら下車駅までくっついて行くんじゃないかね?
先に下車するんなら、そんなのストーカーじゃないね」
それに、ストーカーなら下車駅までくっついて行くんじゃないかね?
先に下車するんなら、そんなのストーカーじゃないね」
酔いも手伝ってか、次第に饒舌になっていくタコオヤジ。
「ところが、ここから急展開だ・・・ある日から、遂にこっちの下車するxxx駅前の『京たx』の店員になっていてね・・・」
「・・・」
「さらに驚いたことには、こっちが東京に引っ越すと、そいつは最寄りの吉祥寺駅前の『京たこ』に勤めていたんだぜ!
こんな奇々怪々なことがあるものだろうか?
と言っても、既に現実としてあったわけだが・・・これでもストーカーではないと?」
こんな奇々怪々なことがあるものだろうか?
と言っても、既に現実としてあったわけだが・・・これでもストーカーではないと?」
「そんな偶然も、あるかもしれない・・・」
「まったく、これが偶然とか被害妄想いうバカモノが居たら、そいつの頭はよっぽど逝かれてると思うけどな」
「で・・・そのバカ話の続きは、どーなるんだ?」
「で、東京までストーキングされたのでは堪らんから、ここで逢ったが百年目、一丁その奇々怪々な行動の「動機」を白状させないと眠れない・・・」
「まるで私が、そのストーカーとやらのように聞こえるのだが・・・」
「違うとでも?」
「くだらん、実に下らん!
いや、失敬だ!
無礼者!
これ以上、無礼者の相手などしてられん!」
いや、失敬だ!
無礼者!
これ以上、無礼者の相手などしてられん!」
と怒鳴ると、勢いよくテーブルを叩いてタコオヤジは立ち上がった。
「吉祥寺駅前の京たこに勤めてるのはわかってるんだから、逃げられはせんわ!」
「・・・」
タコオヤジの狼狽した表情は、自白も同然だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿