当初予定では正攻法で宝光社からスタートし、火之御子社、中社、途中鏡池に寄り奥社、九頭龍社と制覇していく想定だったが、調査の結果それぞれの神社間に相当な距離があり半日では奥社や鏡池までは到底、辿り着けないことが判明していた。そこで計画を練り直し、中社までバスを乗り付け奥社まで歩き、バスで宝光社へ戻って火之御子社と併せて見学するプランに変更した。
パワースポットとして知られる鏡池も是非見ておきたかったが、神社巡りのコースからあまりに外れているため、断腸の思いでコースから除外するしかなかった。天の岩屋から天照大御神を引きずり出し、二度と籠らないように岩戸を投げ捨てた怪力の天手力男命をご本尊とし、岩戸が山になったという凄い伝説を持つ戸隠山は、天辺がギザギザの神秘的な姿を見せていた。
奥社、九頭龍社から下山し、そば味のソフトクリームを食べながらバスを待っていると、急激に冷え込んで来る。神社間の移動は距離があるためバスが便利だが、1時間に1本だけにタイミングを合わせる必要がある。バスで中社まで移動し参拝後、火之御子社、宝光社へは誰も歩いていないケモノ道のような道を移動、徐々に日が傾きかけてくる中、すれ違う人ととていない道を行き、5社全てを制覇した時は夕方5時を回っていた。
長野駅に戻るバスの便は、17時58分発である。
(まだまだ、時間の余裕があるわい)
とうろついているうち、いつの間にかバスの出発時刻が迫っていた。最終便(実際には、後に臨時が一便あったが、この時点では最終便と思っていた)だから、このままバス停が見つからず乗り損なっては帰れない。見渡す限り、宿泊施設などはまったくなさそうな土地柄だ。なんとしてもバス停を見つけねばならないが、通行人の姿も見えないから聞く相手もない。空は徐々に暗さを増し、いよいよ探すのも困難になってくる。
(一体、どうすりゃいいんだ?)
手詰まりな状況に弱り果てていると、暗い街の中に郵便局の看板が目に入った。当然ながら、この時間だからシャッターも降りているが、小窓から中の灯が漏れ見えていた。
(ということは、中に誰かいるはず・・・)
田舎の局舎特有の、隣が母屋のようになった玄関にインターフォンが付いていたので、早速押してみると
(はいはい・・・)
と局員が出て来て、バス停の所在を親切に教えてくれた。「地獄に仏」とは、まさにこのことであろう。
こうして無事に乗車し、長野駅まで戻ったはいいが、新幹線の切符を買ってコインロッカーから荷物を出したりしていると、思わぬ時間を食った。「かがやき」の出発まで僅か20分足らずの中、目に付いた店に入って大慌てで「牛タン定食」でビールと地酒を煽り、濃密な3日間の旅程が終わった。
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