ニュンペー
ティーターノマキアーの勝利の後、ゼウス、ハーデース、ポセイドーンの兄弟はくじを引いてそれぞれの支配領域を決めたが、地上世界は共同で管掌することとした。地上はガイアの世界であり、ガイアそのものとも言えた。地上には陸地と海洋があり、河川、湖沼、また緑豊かな樹木の繁る森林や、草花の咲き薫る野原、清らかな泉などがあった。
地上は人間の暮らす場所であり、また数多くの動物たちや植物が棲息し繁茂する場所でもある。そして太古より、そこには様々な精霊が存在していた。精霊の多くは女性であり、彼女たちはニュンペー(ニンフ)と呼ばれた。nymphee(νυμφη)とは、ギリシア語で「花嫁」を意味する言葉でもあり、彼女たちは若く美しい娘の姿であった。
ニュンペーは、例えばある特定の樹の精霊であった場合、その樹の枯死と共に消え去ってしまうこともあったが、多くの場合、人間の寿命を遙かに超える長い寿命を持っており、神々同様に不死のニュンペーも存在した。
森林や山野の処女のニュンペーは、アルテミス女神に付き従うのが普通であり、また、パーンやヘルメースなども、ニュンペーに親しい神であった。古代のギリシアには、ニュンペーに対する崇拝・祭儀が存在したことがホメーロスによって言及されており、これは考古学的にも確認されている。ニュンペーは恋する乙女であり、神々や精霊、人間と交わって子を生むと母となり妻ともなった。多くの英雄が、ニュンペーを母として誕生している。
ニュンペーの種類
ニュンペーは、その住処によって呼び名が異なる。
ネーレイデス
陸地のニュンペーとしては、次のようなものがある。
1)メリアデス(単数:メリアス)は最も古くからいるニュンペーで、ウーラノスの子孫ともされる。トネリコの樹の精霊である。
2)オレイアデス(単数:オレイアス)は山のニュンペーである。
3)アルセイデス(単数:アルセイス)は森や林のニュンペーである。
4)ドリュアデス(単数:ドリュアス)は樹木に宿るニュンペーである。
5)ナパイアイ(単数:ナパイアー)は山間の谷間に住むニュンペーである。
6)ナーイアデス(単数:ナーイアス)は淡水の泉や河のニュンペーである。
1)メリアデス(単数:メリアス)は最も古くからいるニュンペーで、ウーラノスの子孫ともされる。トネリコの樹の精霊である。
2)オレイアデス(単数:オレイアス)は山のニュンペーである。
3)アルセイデス(単数:アルセイス)は森や林のニュンペーである。
4)ドリュアデス(単数:ドリュアス)は樹木に宿るニュンペーである。
5)ナパイアイ(単数:ナパイアー)は山間の谷間に住むニュンペーである。
6)ナーイアデス(単数:ナーイアス)は淡水の泉や河のニュンペーである。
これらのニュンペーは、陸地に住処を持つ者たちである。一方、海洋にはオーケアノスの娘たちやネーレウスの娘たちが多数おり、彼女らは美しい娘で、時に女神に近い存在であることがある。
海洋のニュンペーは、むしろ女神に近い。
1)オーケアニデス(単数:オーケアニス)は、オーケアノスがその姉妹テーテュースの間にもうけた娘たちで3000人、つまり無数にいるとされる。この二柱の神からはまた、すべての河川の神が息子として生まれており、河川の神とオーケアニスたちは姉弟・兄妹の関係にあることになる。冥府の河であるステュクスや、ケイローンの母となったピリュラー、アトラース、プロメーテウス兄弟の母であるクリュメネーなどが知られる。
2)ネーレーイデス(単数:ネーレーイス)は、ネーレウスとオーケアノスの娘ドーリスのあいだの娘で、50人いるとも100人いるともされる。アンピトリーテー、テティス、ガラティア、カリュプソーなどが知られる。
1)オーケアニデス(単数:オーケアニス)は、オーケアノスがその姉妹テーテュースの間にもうけた娘たちで3000人、つまり無数にいるとされる。この二柱の神からはまた、すべての河川の神が息子として生まれており、河川の神とオーケアニスたちは姉弟・兄妹の関係にあることになる。冥府の河であるステュクスや、ケイローンの母となったピリュラー、アトラース、プロメーテウス兄弟の母であるクリュメネーなどが知られる。
2)ネーレーイデス(単数:ネーレーイス)は、ネーレウスとオーケアノスの娘ドーリスのあいだの娘で、50人いるとも100人いるともされる。アンピトリーテー、テティス、ガラティア、カリュプソーなどが知られる。
ケイローンと少年
ニュンペーは自然界にいる女性の精霊で、なかには神々と等しい者もいた。他方、地上の世界には、ニュンペーと対になっているとも言える男性の精霊が存在した。彼らはその姿が、人間とはいささか異なる場合があった。彼らは山野の精霊で、具体的には
1)パーン(別名アイギパーン、「山羊の姿のパーン」の意)
2)ケンタウロス
3)シーレーノス
4)サテュロス
1)パーン(別名アイギパーン、「山羊の姿のパーン」の意)
2)ケンタウロス
3)シーレーノス
4)サテュロス
などが挙げられる。彼らの姿は、上半身は人間に近いが、下半身が馬や山羊であったり、額に角があったりする。
上記の中でパーンは別格とも言え、ヘルメースとドリュオプスの娘ドリュオペーの間の子で、オリュンポスの神の一員でもある。ただしパーンが誰の子かということについては諸説ある。シューリンクスという笛を好み、好色でもあった。
ケンタウロスは半人半馬の姿で、乱暴かつ粗野であるが、ケイローンだけは異なり医術に長け、また不死であった。シーレーノスとサテュロスは同じ種族と考えられ、前者は馬に似て年長であり、後者は山羊に似ていた。粗野で好色で、ニュンペーたちと戯れ暴れ回ることが多々あった。
彼らが山野の精霊であるのに対し、地上の多数の河川には、オーケアノスとテーテュースの息子である河川の精霊あるいは神がいた(『イーリアス』21章。『神統記』)。彼らは普通「河神(river-gods)」と呼ばれるので、精霊よりは格が高いと言える。3000人いるとされるオーケアニデスの兄弟に当たる。河神に対する崇拝もあり、彼らのための儀礼と社殿などもあった。スカマンドロス河神とアケローオス河神が、よく知られる。
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