2025/01/01

ハワイ神話(1)

創世神話

ハワイ先住民の宗教での創世神話は、ハワイ王朝年代記である『クムリポ』(ハワイ語で「起源」の意味)に語られている。ハワイ王家に代々口承で伝えてきた2102行からなる叙事詩で、カラカウア王が1889年に公表し、ハワイ王朝が終焉したのちの1897年に英訳されて、世界的にも有名になったもの。

 

その内容は16部に分かれていて、前半の8部が「闇の世界」で、宇宙の始まりから、渾沌の世界から「夜の暗黒」ポーエレ(Boggart)と「根源の闇」クムリポ (Kumulipo)が現れ、交わって生物が創造された。原初の生物が誕生して、海の生物が誕生する。

 

後半8部は「光の世界」で、カナロア、カネなどの神々が誕生して、ハワイ諸島とハワイ人の誕生、ハワイ王族の系譜へと続く。

 

ハワイ諸島とハワイ人の誕生神話

ハワイ神話では、大地をつかさどる女神「パパハナウモク」(国を産むパパ)と天空をつかさどる男神「ワケア」が結ばれて、ハワイ島、マウイ島、カホオラウェ島が生まれる。 その後パパはタヒチ島に戻ってしまうので、残されたワケアはヒナと結ばれてモロカイ島を、カウラワヒネと結ばれてラナイ島が生まれる。

 

しばらくしてパパはハワイに戻ってきて、ルアという男神と結ばれてオアフ島を産む。その後もワケアとパパの間にできたのがカウアイ島、ニイハウ島であった。これでハワイ諸島の主な8島の誕生が完成した。参考までに、北西ハワイ諸島のナショナル・モニュメントは「パパハナウモクアケア海洋ナショナル・モニュメント」と命名されている。ハワイ諸島への移住と各島の命名については、南の島に住むハワイロアが偶然発見して、そこへ家族へ移住して子供たちの名前を付けた、などの神話もある。

 

ハワイ神話では、ハワイ人の祖先はハーロア(Hāloa)であるといわれている。ワケアがパパとの間の娘ホオ・ホクラカニと関係してできた第一子は死産で、それを葬ったらそこからタロイモが出てきたという。第二子はハーロアといい、彼がハワイ人の祖先であると信じられている。

 

このため、タロイモはハワイでは大切に扱われている。また、この神話はチャント「ハーロア」として、今でもハワイでよく聞かれる。なお、ハワイ人の祖先はクムホヌア (Kumu-Honua) であるという神話は、アダムとイブの話によく似ており、19世紀にキリスト教が入ってきてからの創作と言われている。

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