https://nihonsinwa.com/ 引用
●宇比地迩神
「泥」を神格化したものとされる。古事記の「神世七代」と日本書紀の「第二段本文・第三段本文 神代七代」に登場する。沙土煑尊(スヒジニ)は妹であり対となり、もしくは妻でもあるとも言える。
「ウ」は「泥」のこと。712年編纂の古事記では、一音につき一字の名前である「宇比地迩神」だったが、720年編纂の日本書紀では「埿土煮尊」と一音一字のルールではなく、C国の影響を受け漢字の意味を汲んでいると考えられる。
泥は川や池に堆積したもので、非常に多くの栄養を含んでいる。古代の農業で問題となったのが連作障害であった。連作障害の原因は、現在でもハッキリとした理由は分かっていない。原因は植物自身が出す物質に「自家中毒」を起こすというのもあるが、同じ場所で同じ植物を大量に栽培すると、消費される肥料が偏ってしまうことによるらしい。これを防ぐには、栄養(つまり肥料)を毎年追加するしかなく、川や池の泥が利用されたのかもしれない。宇比地迩神の妹であり妻でもある沙土煑尊の「砂(沙)」も、土の水はけをよくするために利用する。
●沙土煑神
古事記の神世七代と日本書紀の第二段本文・第三段本文 神代七代に登場する。泥土煮尊(宇比地迩神)と対となる。泥土煮尊(宇比地迩神)との関係は明確ではないが、夫婦または兄妹と見るのが妥当か。
沙土煑は「沙」から「砂」を意図したものと推測される。宇比地迩神が「泥」で、スヒジニが「砂」であり、これらが神世七代の最初に語られるのは、泥や砂が古代の農業にとって大事な役割を果たしたためかもしれない。宇比地迩神が、土壌改良か連作障害予防の肥料として「泥」が使われたことの象徴に対して、スヒジニは「水はけ向上」のための砂利用の農業技術の象徴だったとも言える。
●角杙神
神世七代の第4代の神で、ツヌグイが男神、イクグイが女神である。「クイ(クヒ)」は「芽ぐむ」などの「クム」で「角ぐむ」は角のように芽が出はじめる意、「活ぐむ」は生育し始める意である。泥土が段々固まってきたことにより、生物が発成し育つことができるようになったことを示す神名である。古事記の神世七代に登場する神で、角杙に対し活杙神は「妹」と表記されており、夫婦とか兄妹という見方が妥当か。ただし、古代の日本では「妹」には血縁者の妹だけでなく「愛しい人」という意味もある。
角杙神の性質はハッキリしない。名前から言うと「杙」、つまり地面にクイを打つことで土地の境界線をはっきりさせた、というのが一般的な見方。もしくは泥のような大地に「クイ」が立った、つまりこれが初期の人間の姿という説。 「グヒ」が植物が芽生える動詞から派生した言葉、という説など様々ある。
●活杙神
古事記の神世七代に登場する神。角杙神とは夫婦か兄妹か、ともかく二柱でセットの神様である。角杙に大して「妹」と書かれているので、活杙神は女神である。泥や砂の中に表れた「杙」なので、人間の原型という説もある。女神なら「女性の原型」、もしくは地面に打った境界線としての杙の神格化。他には、グヒを芽吹くといった意味合いの動詞と見ることもできる。「活」という字は活力を表していて、植物が強く芽吹くという意味を表す。
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