それからというもの
「あのタコ坊が、いつも同じ電車に乗っているのは、あくまで偶然のハズだ」
という事を証明し、安心を得るために意図的に1本(30分)、2本(1時間)、また場合によっては3本(1時間半)以上まで遅らせてみる「実験」を行った。
ところが驚いたことに、どのケースであっても何故か必ず乗っているではないか!
勿論、これだけ毎日時間を変えていれば、週に5日毎日欠かさず居るとまではいはないものの、それでもほぼ9割近い確率で乗車していたことを考えれば、やはりかなり「驚異的な高確率」としか言いようがなかった。
ここまで来ると、あたかも
「ヤツはオレと同じ車両に乗ると、莫大な賞金でも稼げるのか?」
とでも思えてしまうくらいに、どう考えても何らかの「明確な意志」を持って、同じ電車に乗車して来ているとしか思えないではないか!
そこで、こちらも一計を案じた。
人間の習性とは恐ろしいもので、毎日の日課というものはなかなか変えられないものだ。
変えられないというよりも、多くの場合「日課」と呼ばれるものの実態は、辞書に書いてあるような「毎日決めてする仕事」というよりは、殆ど「無意識の行動様式と化したもの」という方が事実に近い。
となれば、まずは「意識をそこに向けていく」ことから変化が始まるのである。
ラッキーボーイとしては不覚にも、この盲点に引っかかっていたが、これまで時間を散々ずらしてはいたものの、今更ながら「乗る車両がいつも同じだった」という盲点に気付いた。
「日課」という意味では、或いは時間以上に車両こそは「毎日決めて」いたり、或いは「無意識の行動様式」となっているケースが多いハズなのである。
ちなみに、この時に乗っていたのは名鉄電車の「新名古屋駅」(2005年に「名鉄名古屋駅」に改称)からで、例の「タコ坊」が乗ってくるのは「新名古屋駅」から、2つ目の停車駅からだった。
ということは、向こうもいつも同じ乗車場所から同じ車両に乗っているわけだから
(寧ろ時間をずらすよりは、乗車位置を変えてしまえばいいのだ)
と思いついて、早速実行してみたのである。
(これで、あのしつこい禿のタコオヤジとはオサラバだ)
と決めつけて、一人悦に入っていた若きラッキーボーイを嘲笑うかのように、なんと目と鼻の先に、あの「タコ坊」が至極当然のように、あの世の不幸を一身に引き受けたような憂鬱な顔をして乗っていた! ゲゲ (゜_゜;)
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