2017/01/17

シュメール神話

 シュメールは、メソポタミア(現在のイラク・クウェート)南部を占めるバビロニアの南半分の地域、またはそこに興った最古である都市文明である。

 初期のメソポタミア文明とされ、チグリス川とユーフラテス川の間に栄えた(Wikipedia)

 ≪そのシュメールの神々としては、天神アヌ、太陽神ウトゥ、月神ナンナ、金星イナンナ、大気の神エンリル、大地と水の神エンキなど、天空神を中心に数百の神々があった。

 これらの神々は、そのまま名前を変え、次代のアッカド民族に引き継がれていく。

 例えば、太陽神はシャマシュとなり、月神はシン、金星はイシュタルという具合に。

 これは、ギリシア神話とローマ神話にも見られる現象で、文化の受容・継承に伴うもので、同じような世界観を持っていたことから生じた結果といえる。

 ここでの特徴は、神々が天体の人格化という性格を持っていることで、これは太古の人類が神というものに出会う最も基本のあり方だった。 

 何故なら、人類は自然の中に生きていたので、自分たちは勿論、その食物となる動物も植物も、太陽によって育まれていることに気付くわけで、その太陽は人間の力などでは左右できない超越的なものであった。

 同じ理由で月日を教える月も、生物を文字通り生み育む大地も、また様々の自然現象に関係するものや星々も神と見なされていくのは、当然の帰結であった。

 これらの神々の関係が神話となっていく段階で、世界や人間についての考え方が整理されていった。

 メソポタミアのシュメール神体系は、太陽神ウトゥ、月神ナンナ、金星イナンナを中心として数百の神々がいたが、この三神だけが原初の中心の神というわけではなく、他に主神もいることは次ぎに見る「ギルガメシュ叙事詩」でも明らかで、そこでは天神アヌが物事を決めている主神であり、また創造の女神アルルがエンキドゥという人間を作っている。

 さらに、冥界の女王イルカルラも登場する。

 こうした神々の中で、後代の展開の中で誰かが主神になっていく。

●天地創造と人間の創造

 シュメール神話で、最大の特徴として注目されるのが「天地創造と人間の創造」となり、この思想は中東・オリエント最大の特徴と言える。

 この思想は、一般にはヘブライ神話で知られているが、ヘブライはシュメールよりかなり後代の、しかも中東西部に展開した民族だった。

 彼等も同じセム族に属し、したがってシュメールとの関連も見られるわけで、有名なノアの方舟の後、その子孫は東に移りシナルの地に平野を得て、バベルの塔を建てたとされている。

 そのヘブライ神話(聖書)にあるシナルというのが、シュメールの訛った表現であるとされる。

 天地創造の物語は、初めに天と大地が造られ、チグリス、ユーフラテス川が造られ、そして天には天神アヌ、大気の神エンリル、太陽神ウトゥ、大地と水の神エンキがおり、神々は相談して次ぎに何を創ろうかとなり、神々に仕える人間を造ろうとなって、女神アルルを召し出し人間を造らせ、そこに穀物や知恵の神ニバダを送った。

 人間を神々に仕えるものとして創造したという話は、ヘブライ神話における「アダムとイブ」の物語にそのまま現れ、また人間界に穀物ばかりか知恵が必要であったという、この神話はヘブライ神話での人間が禁断の木の実、つまり知恵の実を食べてしまい、地上に追放された物語にも通じている。
参考 http://www.ozawa-katsuhiko.com/

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