2017/01/18

エヌマ・エリシュ(バビロニア神話)

 マルドゥクによる世界創造を語った神話であり、彼を最高神とする目的で作られた。

 その成立は、カッシート王朝時代(前16世紀初頭〜12世紀半ば)と言われており、当時の冒頭を題名とする慣習により、エヌマ・エリシュと呼ばれる、その意味は「上では・・・・とき」。  

 その構成などの類似点から、ニヌルタ神の物語である「ルガル・エ」をベースにしているとする説もある。

 物語は全部で7枚の粘土版により構成されており、アキトゥ祭(バビロニアの新年祭)4日目に朗唱されたとされるが、毎月4日にもなされていた可能性も指摘されている。

●アッシリア版エヌマ・エリシュ
 新アッシリア時代(前1000年頃〜前609年)のアッシリアにおいて、主神であるアッシュルを最高神に据えるため、主役をマルドゥクからアッシュルに置き換えたものが作成された。

 また、アッシュルはアンシャルと同一視されてもおり(名前の類似性からアンシャルが選ばれたと言われる)、これらはバビロニア文化に対するアッシリア文化の優位性を示すために行われた。

あらすじ 
第一書板
 まだ天地が存在しなかった時代、最初にアプスーとティアマト、そしてムンムが生まれた。

 アプスーとティアマトの交xからラハムとラフムが、アンシャルとキシャルが生まれ、アンシャルからアヌ、アヌからその息子エアと、さらに様々な神が生まれ増えていった。

 子孫たる神々が増えるとともに、彼らの起こす騒ぎも増してゆき、それに耐えかねたアプスーは神々の抹殺を企てティアマトに相談、ティアマトには諌められたものの、ムンムの進言で実行を決意する。

 だが、計画の実行前にエアに悟られてしまい、アプスーはエアの術により眠らされた上で殺され、ムンムは捕らえられて監禁されてしまう。

 その後も神々の騒ぎは収まるどころか、エアの子マルドゥクの誕生祝いなどで更に悪化してゆき、ついにティアマトも配下の神々の批判や訴えの前に戦いを決意。

 キングーを新たな伴侶とした上で、天命のタブレットを与え最高神に高め、更に11種類の混成獣を生み出す等、神々抹殺のための軍団を編成しはじめる。



第二書板
 ティアマト軍勢の存在を知ったエアは、アンシャルに相談。

 アンシャルはアヌとエアをティアマトの説得に向かわせるが、2神とも軍団を見ただけで怯えて帰ってきてしまう。

 混乱する神々に対し、マルドゥクは自らを最高神の地位につけることを条件に、自らティアマトと戦うと申し出る。

第三書板
 アンシャルはマルドゥクの進言を受け入れ、神々の承認を得るために集会を開き、宴席を持って神々を歓待。

 神々はマルドゥクの条件を飲み、ティアマトと戦うものとして承認する。

第四書板
 神々はマルドゥクに天命を与え、その力が十全に働くか否かを試すようマルドゥクに指示。

 マルドゥクは星々を消滅、復活させてみせてその力を示し、喜んだ神々により様々な武器を与えられて戦いに出陣する。

 キングーを始めとするティアマトの軍勢は、進みくるマルドゥクの威容を目にしただけで萎縮し、戦いを放棄してしまう。

 ティアマトが自ら一騎打ちを挑むも、マルドゥクの挑発により正気を失い、彼が従える風を飲み込もうと口を開けた所に、その風を送り込まれることで口を閉じることができなくなった隙をマルドゥクに突かれ、弓によって心臓を射抜かれて倒された。

 その体は2つに裂かれ、天地創造の素材とされてしまった。

第五書板
 マルドゥクは、キングーより奪った天命のタブレットをアヌに進呈すると、更に神々の座所や暦、昼夜や星座の配置等の世界の法則を生み出し、残ったティアマトの体で世界の細部を整えて世界創造を進めて行く。

 神々はマルドゥクの偉大さを賞賛し、その命令に従うことを表明、それを聞いたマルドゥクは、すべての神々の座所として、バビロンの建設を語る。

第六書板
 神々の賞賛を受けたマルドゥクは、それに応えるために、彼らの労働を代わりに担うものとして人間の創造を決意、捕えていたキングーを殺し、その血より人間を作り出す(人間が生み出されるまでは、生活に必要な様々な労働は下位の神々の役割であった)

 それにより労働から解放された神々は、更にマルドゥクを賞賛、最後の働きとしてバビロンの建設に取りかかり、二年でそれを完成させた。

第七書板
 マルドゥクを讃えるため、神々は彼に50の名を与え、それらを列挙していく。
※参考【ピクシブ百科事典】

0 件のコメント:

コメントを投稿