冬季オリンピックの華と言えば、フィギュアスケートである。そして、このフィギュアスケートにおけるトリノ五輪の代表選考が、かつてないほどの盛り上がりを見せたのは、ご存じの通りだ。
かつては五輪でメダルを獲った伊藤みどり、また世界選手権金メダリストの佐藤有香といった、メダルの期待されたスター選手がいるにはいたが、彼女らはあくまでも一握りの例外的な存在(特に伊藤)に過ぎず、二番手以降に選ばれる選手たちは、常に付録のような存在でしかなかった。事実、その他の選手は五輪や世界選手権といった大きな舞台では、まったく通用しなかったのである。
ところが、今回に限っては代表候補の三人を選ぶだけでもひと苦労という、かつてない嬉しい悲鳴が響いた。こう書くと聞えはいいが、見方を変えれば「ドングリの背比べ」と言えるのかもしれない。
現状を観る限りは誰が選ばれるにしろ、三人が三人ともメダルを狙えるような位置にいるとは言い切れないし、実質的には長年に渡って文句なしに世界一だった伊藤などとはまったく比較にはならないとはいえ、それでも常に振るわないままの男子を含めた日本のフィギュアスケート界にとっては、画期的な事だと言えるのだろう。
ちなみに、主な代表選考対象となった大会の結果は、以下の通りであった。
・グランプリシリーズ第一戦(アメリカ=10月)
・グランプリシリーズ第一戦(アメリカ=10月)
3位 恩田美栄
・グランプリシリーズ第二戦(カナダ=10月)
3位 中野友加里
8位 村主章枝
・ グランプリシリーズ第三戦(中国=11月)
2位 浅田真央
3位 荒川静香
・グランプリシリーズ第四戦(フランス=11月)
優勝 浅田真央
3位 荒川静香
・グランプリシリーズ第五戦(ロシア=11月)
2位 安藤美姫
3位 恩田美栄
・グランプリシリーズ第六戦(大阪=12月)
・グランプリシリーズ第六戦(大阪=12月)
優勝 中野友加里
2位 村主章枝
4位 安藤美姫
・グランプリファイナル(東京=12月)
・グランプリファイナル(東京=12月)
優勝 浅田真央
3位 中野友加里
4位 安藤美姫
・全日本選手権
・全日本選手権
優勝 村主章枝
2位 浅田真央
3位 荒川静香
4位 恩田美栄
5位 中野友加里
6位 安藤美姫
ここまでの成績を見れば、海外の大会(フランス杯)で唯一の優勝を含め、二大会で優勝している浅田がトップである事は誰の目にも明らかだ。が、残念な事にまだ15歳の浅田は五輪の出場資格(年齢制限)に引っかかってしまい出場する事が不可能となり、この絶頂期にありながら千載一遇のチャンスを逃すという、泣くに泣かれぬ不運に見舞われてしまったのである。
フランス杯とともに、もう一つ出場した中国杯でも2位、さらに全日本選手権も含めた総てに一緒に出場した、ベテランの荒川(ともに3位)を上回っている事からも、この若き天才の並々ならぬ実力がわかろうというものだ。次いでスケートカナダで3位、NHK杯でライバルたちを抑えて優勝している中野も、ここまでは順調だった。こうして迎えたのが、代表選考最終戦となる全日本選手権である。
有力6選手によって五輪代表が争われるという舞台で、前日のショートプログラム(以下SP)での接戦を受けて、30%台を超える(瞬間では40%超)というフジテレビの番組では、この年最高の視聴率を記録した事からも、その注目度の高さが窺えよう。
SPを終えた時点での順位は、次の通りであった。
1位 荒川静香 68.76
2位 村主章枝
67.30
3位 浅田真央
66.64
4位 恩田美栄
62.20
5位 中野友加里 61.46
6位 安藤美姫 60.24
実はこの大会を前に、元選手の渡部絵美が「実力とは関係なしに、3人(今回選出)に決まる」と、以下のように予言していたらしい(某サイトから引用)
<「今の実力からすれば、選ばれるべきなのは浅田(真央)、中野(友加里)と村主か荒川のどちらか。でも代表は安藤と村主、荒川になるので見ていなさい。 日本スケート連盟(JSF)の現状というべきですか、やはりスポンサーの問題が大きいと思います」
代表3選手は、JSFが「親会社」とする日本オリンピック委員会(JOC)が、スポンサーから資金を集めるための「シンボルアスリート」に選ばれている。個人にも、大手企業のスポンサーも付いており「連盟は彼女たちを落とせない」
と読んでいたという。
そんな“裏事情”は素人のファンも感じているのか、大手プロバイダー「BIGLOBE」が代表決定直後からネット上で実施しているアンケートでは、選考結果に「納得できない」とする回答が9割を超えている。理由として「調子の悪いやつを出してどうする」、「裏がある」、「やらせの茶番劇」、「スポーツに汚い金が絡んでいる事が分かった」との手厳しいコメントが並ぶ。
渡部さんは「プロや素人の視点といった話とは別に、誰が見ても安藤が一番良くなかったのは明らかで、アンケート結果は当然」と言い切った。一部週刊誌などで「フィギュアスケート界の女帝」と伝えられた城田憲子フィギュア強化部長は、村主や荒川の指導者だった事がある一方、浅田や恩田(美栄)は伊藤みどりを育てた山田満知子コーチの教え子。2人の対立関係が選考に影響したとの指摘にも、渡部さんは「その通りだと思う」と話す。
安藤について、渡部さんは「明らかに他の選手と比べ、練習不足にみえます」 と指摘。ただ、スポンサーや指導者の問題は「大人の事情」で、安藤にも「かわいそう。自分が実力で選ばれたのではない事を、一番わかっているのが安藤でしょうから」と同情する>
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