アドルフ・アダン(1803-1856)はパリ音楽院を卒業後、人気作曲家として成功を収めた。
アダンの時代には、バレエ音楽は踊りの技巧的発展に伴ってただの伴奏なってしまいましたが、アダンは「ジゼル」の音楽に「愛の主題」,「運命の主題」などの「モティーフ(主題)」を採用して、音楽とドラマを密接に関連づけ、音楽と舞踏の劇的展開の融合に成功し、ロマンティック・バレエの代表作として不朽の名作となった。
物語は、スラブ民話によるバラード「ヴィリの踊り」が元になっている。このヴィリはバンパイアに属する精霊で、結婚を目前に死んだ踊り好きな娘たちの霊魂が、生前満たされなかった踊りの情熱のために墓で安らぐことができず、深夜になると森で群れ踊り、通りかかった若者を捕らえて死ぬまで踊らせる、といった伝説である。
古典バレエの傑作として名高い「ジゼル」の作曲者アダンは、オペラやバレエなどの劇場音楽を得意とし、生涯に39のオペラと14のバレエ音楽を残した。中でも、バレエ音楽には傑作が多く「ジゼル」のほか「海賊」も現在でも根強い人気がある。
主役のジゼルは、踊りの技術だけでなく高い演技力が求められる難役だ。それだけやり甲斐もあり、誰もが一度は踊りたい役と言われる。またこのバレエは、音楽が単なる伴奏の域を超え、踊りと一体となって舞台を作り上げた最初の作品といわれ、後のチャイコフスキーらにも大きな影響を与えた。
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