2007/03/09

ヴュータン ヴァイオリン協奏曲第4番(第4楽章)

 


ヒラリー・ハーンの蔵出し完全版

音源も新しく、オーケストラとの掛け合いも素晴らしい。



ソリストとしてのヴュータンは、自作以外にもベートーヴェンやメンデルスゾーンの協奏曲(さらにベートーヴェンの室内楽曲)の演奏を通じ、当時の上辺だけの華やかさを追い求めるヴァイオリン界の風潮に一石を投じるように、古典的な奥行きを齎した。


 ベルリオーズなどからの称賛は今となっては過褒に思えるかもしれないが、それでもヴュータンがよい趣味の持ち主で、真の音楽的感覚に従っていたことは認められる。決して先輩ヴァイオリニストたちのようには、薄っぺらな演奏技巧のみに溺れたりはしなかったのである。結果として、ド・ベリオやロードなどの協奏曲が、その内容ゆえに時間の経過に堪えられなかったのに対し、ヴュータンの協奏曲はサン=サーンスの作例などと比較できるものとなった。

0 件のコメント:

コメントを投稿