出典http://ozawa-katsuhiko.work/
神社
以上のような神は、支配者である「皇室の神」です。ですから、その多くが崇拝を求められて「神社の祭神」となっているのですが、残念ながら一般の人々はどの神社にどの神が祭られているのかなど全く意に介さず、知ろうともしません。要するに「神」でありさえすればいいからです。つまり「力」だけが問題なのであって「誰」であるとか「どんな職分」の神であるかは問題にされないのです。
以下、有名神社について紹介しておきます。「神社」と総称してはいますが、神社には何々「神宮」と呼ばれたり、何々「大社」、あるいは「宮」とか「社」とか呼ばれているものもあり複雑です。ここでは詳しい説明は割愛して、簡単な紹介にしておきます。
「伊勢神宮」(三重県)
これは本来「別格」の神社で、ここだけはただの「神宮」と呼ばれるはずのものでした。つまり、本来「伊勢」という限定はいらないのであって、ここはすべての神社を代表しているということです。というのも、ここの主神は「天照大神」であり天皇家の祖先神であるからです。この神が「内宮」の主神ですが、外宮には食物神である「豊受けの大神」が祭られています。
しかしその後、複数の神宮が作られたため「伊勢の神宮」と限定されてしまったというわけでした。今日では「神宮」というと、むしろ東京の「明治神宮」を意味してしまうことが多いようです。
「熱田神宮」(愛知県)
ここは三種の神器の一つである「草薙の剣」が祭られていることで有名で、主神は「熱田大神」とされますが、これは要するに「天照大神」ということになってしまいます。その他、この剣を八股の大蛇を退治して取り出した「すさのう」と、これを以て駿河で「草を薙って」この地を平定した(それゆえ「草薙の剣」と呼ばれることになった)「日本武尊(やまとたけるのみこと)」が祭られているのは当然です。
「明治神宮」(東京都)
「初詣」で有名な神社ですが、ここの祭神は「明治天皇」であって、全く新しい神社です。しかし今日、限定なしに「神宮」というと、ここを意味してしまうほどに有名になってしまいました。
「出雲大社」(島根県)
ここの神は「大国主大神」です。本来は、ここだけが「大社」と呼ばれていたことが『延喜式』に見られます。つまり「神宮」は本来「伊勢神宮」だけで、「大社」は「出雲大社」だけということのようでした。それが拡大されて、後に各地にたくさん「大社」が作られていきました。
「春日大社」(奈良県)
藤原氏の「氏神社」として興隆したものですが、一般に「春日祭り」で有名となっています。祭神は「大国主」に国譲りの談判に行った「たけみかずち」と、『日本書紀』の方で「たけみかずち」と共に談判に言ったとされる「ふつぬしの神」です。共に「戦の神」とされています。
「諏訪大社」(長野県)
大国主の国譲りの話しのところに出てくる「たけみなかた」が祭られています。
「伏見稲荷大社」(京都府)
一般に「お稲荷さん」で親しまれているものですが、それらのお稲荷さんは「伏見稲荷」とは無関係に地方にあった信仰が取り込まれたものと考えられ、全国に数万の社が存在すると言われています。そうなったのも、この稲荷信仰は「食物、穀物の神」とされる一方、屋敷神ともされたりして氏族の守護を司るとされ、また他方でここの使い神である「狐による祟り」が考えられたりして、それ故地方ごとにあった様々の信仰形態が包括されてしまったといわれています。
一応、その本家とされるのがここで、祭神は「食物、稲の神」とされる「うかのみたま」となります。今日でも「商売の神」として、多くの信仰を得ています。もちろん全国数万の「お稲荷さん」も同様です。
ちなみに愛知の「豊川稲荷」も有名ですが、こちらは全く別系統で、仏教での「だきにてん」と稲荷が習合したものです。
「熊野神社」(和歌山県)
一般に「熊野神社」と呼んで全国各地で多くの信仰を集めていたものですが、この「熊野信仰」の母体となっている神社は、紀州の「熊野三山」つまり「熊野本宮大社」と「熊野速玉大社」、「熊野那智大社」をさします。
この他に、島根にも「熊野大社」という非常に由緒ある社などもあって、ややこしいです。祭神は「本宮」が「けつみこ大神」とされますが、この本体は「すさのう」とされています。「速玉」は「速玉大神」ですが、この本体は「いざなぎ大神」とされます。「那智」は「おおあなむち」です。
「宇佐八幡宮」(大分県)
これは「宇佐神宮」が本名のようですが、一般に「八幡様」と呼ばれて親しまれているものです。祭神は「応神天皇」ですが、一般に「源氏の氏神」として有名で「八幡太郎義家」などと名前にまで使われていました。源氏の氏神とされていることに了解されるように、ここは「戦の神」とされています。
「太宰府天満宮」(福岡県)
俗称「天神様」ですが、ここには「菅原道真」が祭られています。この菅原道真が九州の太宰府に流されて憤死し、その祟りで京の都に「雷」が落ちて火事になるなどの災害が生じ、これは「道真の怨念による祟り」であるとされました。そのため道真を「神として祭って」祟りを起こさないようにと「鎮めた」ものです。「雷」だったので「天神」と呼ばれたわけです。後に、この道真は書の達人であったところから「学問の神」とされていったのでした。
この天神様のように、歴史上有名な人物が神格化されて祭られている場合も多々あります。日光の東照宮には徳川家康が祭られています。
こうした神の中で、庶民に人気となって祭られているものに「平将門」がおります。とくに「神田神社」一般には「神田明神」と言われて、銭形平次でも有名になっているものですが、ここの祭神は一宮が「おおあなむち」、二宮が「すくなひこな」、三宮が「平将門」になっています。元来は「おおあなむち」が祭られたもののようでしたが、平将門の祟りがあったと見られた時、荒れ果てていたこの社に「合併して祭る」ということで祭られて以来興隆し、徳川時代には「天下祭り」と呼ばれていました。明治時代に一度、平将門は「別にされ」「すくなひこな」が合祀されましたが、昭和時代になって氏子の強い要求で、再びここに祭られるようになりました。
以上の神社は皆「人気」があって、様々の地域に勧請されて祭られています。そのベスト15を上げておきます。
稲荷、八幡、天神、宗像・厳島、諏訪、日吉、熊野、津島、白山、八坂、松尾、鹿島、秋葉、金比羅
0 件のコメント:
コメントを投稿