2006/12/24

ハイドン 交響曲第82番『熊』(第1楽章)

 


音楽こそ人類最高の芸術だと思う。

「ミュージック(music)」は日本人にとって大変馴染み深い言葉となっているが、その語源はギリシア神話のミューズ(ムーサ) に遡る。すなわち「ミューズの恩寵に与る人間の営み」(音楽、詩作など)を意味するギリシア語「ムーシケー(mousike)」がその語源である。一方「博物館」を意味する「museum」も「ミューズの神殿」を意味するギリシア語「ムーセイオン(mouseion)」を語源とする。

 

また、英語で「art museum」といえば「美術館」のことを指すが、この表現も当然「ミューズ」と間連している。つまり、日本語の「音楽」(music)、「博物館」(museum)、「美術館」(art museum)という三つの言葉は、いずれも対応する英語の表現で比較した場合、共通の語源を持つことが明らかである。

 

話を音楽に戻すと、例えば、文学、数学、音楽と並べた場合、なぜ音楽という漢字にのみ「楽」という字がついているのだろうか。漢和辞典を引くと、その謎は解ける。実は「楽」という字は元来、道具としての「楽器」を意味したのである。やがてそれを用いた音楽そのものを意味し、転じて「楽しい」の意味を表すようになった。そして聴いていて楽しいのは、ハイドンの音楽だ。

 

1楽章

序奏なしで、いきなり力強い第1主題から始まる。この主題は「ドーミーソドー」という単純な分散和音で始まった後、旋律的な部分に続いていく。その後「タカタンタタタ」というリズミカルで祝祭的で堂々とした部分が続く。

フルートとヴァイオリンによって優しい感じの第2主題が登場する。続く小結尾では、低音楽器によって上昇するスタッカート音型が演奏された後、高音楽器が下降するスタッカート音型でそれに応える。展開部は、綿密な構成となっている。

ちなみに『熊』というタイトルは、第4楽章に由来している。

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