2016/10/19

外出(真夏の悪夢part6)

●810日(水)
 この日は、また早朝から採血だ。

 前日辺りから痛みがかなり薄らいだ感覚があっただけに、この日は結果に希望が持てた。

 どうやら採血は1日置きに行うらしいから、今日の結果がNGだと次回検査は金曜となり、当初予定の「1週間で退院」が危なくなってしまう。 

 (今度は、きっと良い結果が出るだろう・・・) 

 と心待ちにしていると、昼頃に院長が回診に来た。

 触診でまだ多少の痛みはあったが、かなり良くなっていた。 

 「大分、良くなって来たようですね・・・」

 白血球数が基準値(8600以下)内の8000まで下がり、当初は「25」だった痛みを表す指数(基準値は0.3以下)も「」まで下がった。 

 「そろそろ、今晩から食事を始めましょう。
 まあ食事と言っても、しばらくは重湯になりますが・・・それで様子見て、徐々に食事を変えて行きます」 

 「このままだと、週末くらいには退院できそうですかね?」

 「順調なら、週末か週明けくらいですね。 
 今回は予想した通り、なんとか薬で抑え込めそうですから、手術は数か月くらい間置いてからで」

 とのことで「数か月後の手術」が前提になっているのが気にはなるが、今はようやく光明が見えてきた思いだ。 

 「今週中に、銀行に行かないといけないんですが・・・金曜日に、外出しても良いですか?」 

 と聞くと 

 「いいですよ。 
 看護師に伝えておきます」 

 とOKが出た。 

 銀行に行く必要があるのは本当だったが 

 (やっとタバコが吸える!) 

 と、内心喜んだ。 

 銀行以外にも、着替えも底をついて来ていたし、市役所に高額医療費請求の事前申請書を貰いに行かねばならないから 

 「2時間くらい、かかりそうです」 

 と伝えておく。 

 巡回してきた看護婦に、今の話を伝えた。

 「さっき院長には金曜日と言ったけど、考えてみれば役所や銀行はともかく、着替えを取に行くのは祝日も関係ないから、明日も外出許可貰えないかな? 
 それなら明日、明後日1時間ずつで済むから」 

 と伝えると 

 「先生に確認してきます」 

 と出て行ったが、ほどなく 

 「外出の件、OKです」 

 と返事が来た。 

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 夕方、遂に食事開始だ。

 「食事」と言っても、重湯とスープ、そしてオレンジジュースのみだったが。

 あまり食欲がないせいか重湯は旨いと感じなかったが、スープは旨かった。

 何より味よりも、ようやく食べ物や(お茶と水以外の)飲み物を口にできるということが嬉しい

 久しぶりに飲むオレンジジュースが、特に旨く感じた。

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●811日(木)
 病院での1日のサイクルは、朝7時前の検温、血圧測定などに始まる。

 朝食は8時。

 この日は、前夜と同じ朝食は重湯とスープだ。

 前夜と同じだが、スープの味が濃くなっていた。

 なにより、ジョアが旨かった

 朝食後は、ゴロゴロ寝転んでTVでオリンピックを観戦。

 ちょうどこの時期にオリンピックがなかったら、死ぬほど退屈していたろう

 TVカードは1枚(1000円)で13時間視聴できるが、瞬く間に穴の開いた使用済みカードが増えていった。

 昼食は12時。

 朝食との間隔が4時間と短いが、この頃は体調が回復してきたため、案外と空腹を覚えるようになっていた。

 この日の昼食はまたまた重湯とスープだが、スープが今までのよくわからんやつから、コーンスープになっていた。

 そして、相変わらずジョアが旨い

 午前中に回診して来た医師から

 「今日から、お粥に変えます。
 三分粥、五分粥、七分粥と上げながら様子見て、問題なければ最後は常食となっていきます」

 という説明があった。

 午後はシャワーの時間だが、シャワーの使用時間が4時までと決まっているので、抗生剤投与が終わる2時~3時に管を外してもらうことになっていた。

 昼の抗生剤投与が2時くらいからのため、昼食後の12時半に外出となる。

 点滴の針は抜けないので、包帯を巻いての外出だ。

 「タバコはダメですからね~!!!」

 と念を押されようとも、ワタクシを外に出したからには吸わないわけがないのだ!

 痛みはほぼなくなっていたのと、前日の検査結果もあって気持ちが軽くなっていた。

 この調子なら退院も近いから、着替えはそんなに要らないだろう。

 病院には、当てにしていた洗濯機がなかっただけに、これまで着てきたものを家で洗濯したかったが、そこまでの時間はなかった。

 5階の病室の窓から

 (ああ、いつになったら、あそこに出られることやら・・・)

 と思いつつ眺めていた娑婆の土を、5日ぶりに踏みしめる

 数日前までの猛暑の勢いは衰え、この頃は32℃程度に落ち着いていたが、それでも5日ぶりの娑婆は思った以上に暑く感じた。

 入院で病院に来る時の、あの地獄のような痛みや圧迫感は嘘のように消えていたが、栄養不足で弱った体に久々に浴びる太陽光線のインパクトは強烈で、ちょっとフラフラしてしまった。

 まず駐輪場で料金の精算をして、灰皿の置いてあるコンビニでようやく一服。

 5日ぶりのタバコの味が、なんとも懐かしい (^^)y-o

 家に帰ると、着替えや必要な身の回り品をバッグに詰める。

 明日の外出まで、またタバコが吸えなくなるので、ここでまとめて吸っておく ( ´-)y-~~

 病院に戻ると洗髪しシャワーを浴び、点滴再開だ。

 この日の夕食からお粥(三分)となり、よくわからないおかずとみそ汁が付いた。

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