2007/05/26

リヒャルト・シュトラウス 交響詩『英雄の生涯』(4)

 


 サブタイトルにに 「Tondichting für großes Orchester (大管弦楽のための交響詩)」とあるように、演奏するには105名から成る4管編成のオーケストラが必要である。またオーケストレーションが頂点に達している曲とも言われ、技術的にもオーケストラにとって演奏困難な曲の1つに数えられており、バルトークの管弦楽のための協奏曲等と同様、オーケストラの実力が試される曲としても知られている。

 189933日、フランクフルトにて作曲者自身の指揮により初演された。

 

6.Des Helden Weltfucht und Vollendung der Wissenschaft (英雄の隠遁と完成)

 第6部は、さらにゆっくりとしたテンポになって、敵の批判も英雄の意欲も静まり、諦観の気分が強くなります。

 

 牧童の吹くイングリッシュ・ホルンの音も聞えてくる。「ドン・キホーテ」終曲のテーマが引用され、年老いた英雄の諦念が表される。英雄は田舎に隠棲し、自らの来し方を振り返っている。

 

 闘争の動機、伴侶の動機などが回想的に出て来て、穏やかなメロディが続く。過去の戦いを苦々しく振り返ったりしながら、英雄はさらに自己の内部へと沈潜していく。英雄の動機がトランペットで拡大されて登場し最後の盛り上がりを築くが、やがて英雄は年老いた伴侶に看取られながら静かに世を去る。

 

 このスケールの大きなエンディングは、シュトラウスならではと言える。

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