2008/02/01

仕事選び(東京劇場・第4章part1)

 遂にNGN(次世代ネットワーク)の総本山にやって来た。セキュリティ・ポリシーの策定では、専門家の側面支援を受けながら、ISOInternational Organization for Standardization=国際標準化規格)27001(旧ISMS Information Security Management System 情報セキュリティマネジメントシステム)の管理策と首っ引きで、セキュリティポリシーを策定する。元請け担当者をリードしながら、完成度の高いものを作り上げる。

 

専門家はISOISMS規格には滅法詳しいが、通信技術に関してはそれほど詳しいわけではないから、それらを技術的に落とし込んで文章化していくのが、ここでの役割だ。このタスクは、元請けの担当者ばかりでなく、Nの担当者もリードして蔭に隠れながらも、中心的な役割を果たした。

 

セキュリティ・ポリシー策定の後は、技術検証のタスクに入る。ここではNの研究所に移って、セキュリティ機器の構築、性能、機能検証を行った。N研究所の技術者のレベルが高く、技術的に追いかけるのが精一杯という厳しい状況の中で、なんとか無事に(?)全工程をこなす。

 

合同検証の後は終日サーバ室に閉じ籠もり、セキュリティ機器を操作しながら独力でドキュメントを完成させる。取り敢えずは運用部門に引き渡しを終えたが、N担当者との関係が悪化し、キリの良いこのタイミングで現場を離れた。

 

研究所には、NGNなど色んな仕事がゴロゴロありそうでもあり、また自転車で通勤できるという楽さもあるだけに、引き続き残るという選択肢もあるかと思えたが、N社担当との関係悪化ばかりでなく、現場の作業環境の悪さもネックになっていたのだ。

 

そうして再度、転職活動を始めると、早速週明けから幾つかの企業を廻った。

 

 中には、面接の場で契約書を持ち出してきて

 

「採用決定しましたので、この場で当社に入社同意書を書いてください」

 

という会社もあった。

 

「どんな仕事に就けるのかが解らない現段階で、それは出来かねる」

 

面接に訪れる者の多くは、食い詰めて何とか就職を決めたいと焦っているようなのが多いらしく、採用担当としては喜んで食いついてくるものと思っているようで、心外そうな表情をみせた。

 

「先ほどから繰り返し述べているように、単に採用される事が目的ではなく、自分の方向性に沿った仕事に就くことが目的です。採用はそのための、手段に過ぎないと思っております」

 

「それは理解しています。必ず希望にマッチした仕事を紹介するという前提での、採用通知だから・・・」

 

「では現時点で、ご紹介いただけるものがあるのでしょうか?」

 

「案件自体は沢山あるけど、アナタにマッチした仕事を探すのはこれからです。しかし当社としては、アナタが他社との掛け持ちで動かれると、顧客との信頼関係を損なわれる恐れがあるので、まず採用を決めてから本腰を入れて営業を掛けたい。勿論、その間は他社の活動は、総てストップしてもらう事になります」

 

「そういう条件は飲めません・・・」

 

「今、この場では難しいのなら一週間待つから、一週間後に回答をくれればいいですよ」

 

「一週間で考えは変わりませんが・・・変わったら連絡します」

 

何度も繰り返すが、こちらとしては

 

「何でもいいから取り敢えず就職をして、安定した身分になりたい」

 

などという発想はないのである。

 

 無論、自分の方向性にマッチする仕事や企業に就職して、安定した身分になるのならそれ以上言う事はないが、こうして「採用通知」を出してくる企業はまず採用ありきで、それから営業をするという。これでは入社したはいいが、まったく方向性の違う現場に投入されるリスクは、充分に覚悟しなければならない。

 

 「案件は複数紹介するから、その中から自分の方向性にあったものを選べばよく、決して仕事を選べないわけではない」

 

とは言っているが、そのような口約束が当てになるかどうかは、保証の限りではない。また、このような業務案件はタイミングの問題が大きく左右するから、出来るだけフリーの立場で間口を広げて活動するのが好ましく、安定保証を得るためにピンポイントに狭いターゲットに絞っていては、余程の僥倖に期待するしかないのである。

 

未だに、まだ「仕事を選んでいるのか?」と批判をする御仁も居るが

 

「自分がやる仕事を選ばなくてどうする」

 

というものだ。そんなバカな事を言う輩は、大方意に染まぬ仕事に唯々諾々と従事している不満を蓄積して、歪んだ価値観で己を無理やりに納得させているに違いない。勿論、家庭があればそのようなわがままを通すのは難しいだろうから、人にはそれぞれに事情がある事は理解している。

 

要は家庭と仕事のバランスをどう考えるか、またはどちらを選択するかの違いに過ぎない。それだからこそ方向性には拘るし、自分の意に染まぬ仕事などは絶対にやるつもりはない。

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