2008/08/01

シャワートイレの悪夢


 子供の頃から健康優良児だったワタクシの唯一ともいえるウィークポイントが「お腹」である。といっても別にお腹が突き出しているわけではなく、また男でもあるから帝王切開の跡などが残っているわけはない。

実のところ、トイレが近いのだ。

胃弱で、慢性的な便秘に悩まされていた母などは

「アンタは通じが良くて、羨ましいよ」

というのが口癖だったが、本人的にはちっとも良くはない。なにせ食べたり飲んだりすると、直ぐにお腹に来るのである。胃の弱い母は

「胃の活動が、活発すぎるんじゃないの?」

などとノー天気な事を言っていたが、かつて同僚から

「それって胃下垂とか言うヤツじゃね~のかな?
一度、医者に診て貰った方がいいぞ・・・」

と指摘されながらも、生来の無精者であり、また医者嫌いであるところから長年に渡って放ったらかしたままで

(若い頃からずっとこうだから、まあ宿痾のようなもんだろ・・・)

と、決め込んだままで来た。

食べたり飲んだりばかりではなく、なにか時間に追われて焦ったり精神的に負担が掛かった時なども、真っ先に腹に来るのが常だった。それでも普段は、精々1日に2回くらいだからまだ大した事はないが、そうした精神的なバランスが崩れたり寝不足などで疲れがたまると、日に3度も4度もトイレに駆け込むことになるのである。

こんな日が何日か続けば、当然の事ながら痔も悪くなる。そうした体質のワタクシにとっては、お尻に優しいシャワートイレの登場は、マコトに喜ばしい事であった。

それからは出先で催した時などは、出来る限りこの設備の付いたトイレを利用する事に決めていたため、どこにシャワートイレがあるかの「シャワートイレ・マップ」が、頭の中にインプットされていた。

そんな、ある日の事だ。

 例によって外出中に腹痛に見舞われ、脳内のシャワートイレ・マップを引っ張り出してトイレに駆け込んだまでは良かったが、用が済んだ後に停止ボタンを何度押してもシャワーが止まらなくなった時は、随分と焦った。

なにせ立ち上がれば、シャワーが吹き出してくるからそれも叶わず、どうしてよいかわからない。その時は、何度か押しているうちに止まったからまだ良かったが、先日も外出のついでにネットCafeに立ち寄り、メールチェックをしていると腹痛に見舞われ、またしても使用後にシャワーが止まらなくなった。

元々、ワタクシはネコ舌ネコ肌と万事に人一倍デリケートな体質だけに、水温はぬるめで水勢も弱くして使うのが常だったが、この時は便座も火傷をしそうになるほど、異常に熱くなっていた。

不幸にも、この時は他の事に気を取られていたためと、目に見える位置に操作パネルがなかったため、我慢してそのまま使っていたのだが、さていよいよという段になって迂闊にも水温や水勢の調節をせず、ONのボタンを押してしまった。

すると途端に猛烈な勢いで、異常に熱い湯が噴出し始めたではないか。

(アチチチ・・・)

慌てて止めようとしてOFFを押したがまったく反応がなく、熱い湯が迸り出るばかりである。そうこうしているまに尻が痛くなってきたので、あちこちに身体を捻ってようやく、便器の横に蓋を被ったままくっ付いていた操作パネルを探り当て、なんとか水温と水勢、そして便座の温度は適温に調節出来たが、肝心のシャワーがOFFを押し続けても、まったく止まる気配がない。

チクショウ!
一体、どうすりゃいいんだ!
そうか、水勢を「0」にすればいいんじゃないか・・・

ようやくそこへ思いが至りボタンを捻ったが、やはりどこかイカレているらしく「0」にしても噴出す水の勢いは一向に衰えず、このままで立ち上がればシャワーは便座を飛び越えて、果てしなく噴出してしまうのは明らかだった。

(ムムムム・・・・)

そうして、ケツの痛さに耐えながら目だけを動かして足掻いていると、ようやくの事で便器の後ろにあるコンセントが目に入った。最後はコンセントを抜いて事なきを得たが、万一コンセントが外にあったり座ったままでは届かないような位置にあったとしたら、一体どうなっていたのか?w

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