エウリュステウスが、ヘーラクレースに命じた仕事は次の通り。
ネメアーの獅子
ネメアーの獅子は、刃物を通さない強靭な皮を持っており、矢を撃っても傷一つつかなかった。ヘーラクレースは棍棒で殴って悶絶させ、洞窟へと追い込んだ。そこで洞窟の入り口を大岩で塞いで逃げられないようにし、三日間の格闘の末に絞め殺した。この獅子は、後にしし座となった。あらゆる武器を弾く毛皮は獅子の爪によって加工され、彼はその皮を頭からかぶり鎧として用いた。獅子が英雄のシンボルになったのも、このためである。
レルネーのヒュドラー
ヒュドラーはレルネーの沼に住み、9つの(百とも言われる)頭を持った水蛇である。触れただけで全生命体を絶命させる、宇宙最強の猛毒を有していた。ヘーラクレースは、ヒュドラーの吐く毒気にやられないように、口と鼻を布で覆いながら戦わねばならなかった。
ヘーラクレースは始め、鉄の鎌でヒュドラーの首を切っていったが、切った後からさらに2つの首が生えてきて収拾がつかない。しかも、頭のひとつは不死だった。従者のイオラオス(双子の兄弟イピクレスの子)が、ヒュドラーの傷口を松明の炎で焼いて新しい首が生えるのを妨げて、ヘーラクレースを助けた。最後に残った不死の頭は岩の下に埋め、見事ヒュドラーを退治した。そしてヒュドラーは、うみへび座となった。
また、この戦いでヘーラーがヒュドラーに加勢させるべく送り込んだ巨大な化け蟹を、ヘーラクレースはあっさり踏みつぶしてしまった。この蟹が、その後かに座となった。
エウリュステウスは、従者から助けられたことを口実にして功績を無効としたため、功業が1つ増えることになった。またヘーラクレースは、ヒュドラーの猛毒を矢に塗って使うようになった。
ケリュネイアの鹿
アカイア地方のケリュネイアの鹿(牝鹿)は、女神アルテミスの聖獣で黄金の角と青銅の蹄を持っていた。4頭の兄弟がおり、アルテミスに生け捕られ彼女の戦車を引いていたが、この5頭目の鹿は狩猟の女神をもってしても捕らえる事ができないほどの脚の速さを誇った。女神から傷つけることを禁じられたため、ヘーラクレースは1年間追い回した末に、鹿を生け捕りにした。その後、この鹿はアルテミスに捧げられ、他の4頭とともに戦車を牽くこととなった。
エリュマントスの猪
エリュマントス山に住む人食いの怪物、大猪を生け捕りにした。生け捕り自体はさしたる問題なく片づいたが、この時、ヘーラクレースはケンタウロスのポロスに助力を求めていた。ポロスが預かっていた、ケンタウロス一族の共有していた酒をヘーラクレースが飲んだ事により、ケンタウロス一族と争いになった。その戦いで、誤って武術の師であるケイローンにヒュドラーの毒矢を放ってしまった。ケイローンは不死の力を与えられていたが、毒の苦しみに耐えきれず、不死の力をプロメーテウスに譲渡して死を選んだ。
この時にケイローンの不死の力を受け入れてもらうために、ヘーラクレースがカウカーソス山に縛り付けられていたプロメーテウスを解放したとされる。この後、ケイローンの死を惜しんだゼウスは、彼をいて座にしたという。
アウゲイアースの家畜小屋
エーリス王アウゲイアースは3000頭の牛を持ち、その牛小屋は30年間掃除されたことがなかった。ヘーラクレースは、アウゲイアースに「1日で掃除したら、牛の10分の1をもらう」という条件を持ちかけ、アウゲイアースは承知した。ヘーラクレースは、アルペイオス川とペネイオス川の2つの川の流れを強引に変え、小屋に引き込んで30年分の汚物をいっぺんに洗い流した。しかし、おかげでこの川の流れは狂ってしまい、たびたび洪水を引き起こすようになったという。
エウリュステウスは、罪滅ぼしなのに報酬を要求したとして(川の神の力を借りたため、とする説もある)これをノーカウントにしたため、さらに功業が1つ増えることとなった。またアウゲイアースは約束を守らず、知らんぷりを決め込んだ。ヘーラクレースはこのことを忘れず、後になってアウゲイアースを攻略した。
ステュムパーリデスの鳥
ステュムパーリデスの鳥どもは、翼、爪、嘴が青銅でできていた。ヘーラクレースは、この恐るべき怪鳥どもを驚かせて飛び立たせるため、ヘーパイストスからとてつもなく大きな音を立てるガラガラ(彼の工房のキュクロープス達の目覚まし用)を借り受け、音に驚いて飛び立ったところをヒュドラーの毒矢で射落とした。また、矢が効かないので彼に襲い掛かってくるところを、1羽ずつ捕らえて絞め殺したとも言われている。
クレータの牡牛
クレータ島の王ミーノースを罰するために、ポセイドーンの送り込んだクレータの牡牛を生け捕りにした。この牡牛はミーノータウロスの父親であり、美しいが猛々しく極めて凶暴であった。ヘーラクレースは、ミーノース王に協力を求めるが拒否され、結局素手で格闘して、この牡牛をおとなしくさせアルゴスまで連行した。
出典 Wikipedia
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