シューマンのピアノ三重奏曲第1番ニ短調は、1847年6月に妻クララの誕生日を祝って書かれた。ロマンティズムに満ちた作品で、確固とした構成力と緻密な展開法をもった感情の動きを表現している。
第1楽章:精力と情熱をもって (Mit
Energie und Leidenschaft)
独り言をつぶやいているようなピアノ伴奏に乗った物憂い弦楽の第1主題で始まる。 続いて情熱的な付点音符の楽句が現れ一気に音楽が盛り上がって行き、優美な長調の第2主題が現れる。展開部の途中で、突如として天界の音楽のような美しい旋律が、まずピアノで現れ弦に引き継がれる。再現部を経て、天界の音楽が追憶の形でわずかに顔を覗かせたのち、最後は主和音を引き延ばしながら謎めいた終わり方で結ばれる。
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