2006/04/18

妙心寺退蔵院(2006京都花見)(5)

退蔵院は、京都市右京区花園にある臨済宗大本山妙心寺の塔頭である。初期水墨画の代表作である国宝・瓢鮎図(ひょうねんず)を所蔵することで知られる。

 

応永11(1404)に越前の豪族・波多野重通(はたのしげみち)が妙心寺第三世・無因宗因(むいんそういん)を開山として千本通松原に創建し、日峰宗舜(にっぽうそうしゅん)により妙心寺山内に移される。一時期衰退するが、後奈良天皇の帰依が深かった亀年禅愉(きねんぜんゆ)により中興される。

 

元信の庭

狩野元信の作と伝わる枯山水の優美な庭園で、枯滝・蓬莱山・亀島と石橋など多数の庭石が豪快に組まれている。

 


余香苑(よこうえん)

昭和38(1963)から3年の月日を費やして造園家の中根金作(なかねきんさく)が作庭した昭和を代表する名園で、大刈込みの間から三段落ちの滝が流れ落ち,深山の大滝を見るような風情がある。

 




紙本墨画淡彩瓢鮎図

室町水墨画の先駆者・如拙の作。如拙筆の確証がある数少ない作品の一つで、日本の初期水墨画の代表作の一つである。画面上部の序文により、室町幕府4代将軍足利義持の命で制作されたことがわかる。

 

つるつるの瓢箪でぬるぬるしたなまず(「鮎」は「なまず」の古字)を捕まえるにはどうすればよいかという、およそ不可能な問いかけを図示したものであり、禅の公案を絵画化したものである。現状、紙面の下半に絵があり、上半部には序文に続けて30名の禅僧による賛が書かれているが、当初は座屏(ついたて)の表裏にそれぞれ絵と賛を貼ったものであった。

 

原品は京都国立博物館に寄託され、寺で見られるのは模写である。

 

名勝及び史跡 退蔵院庭園 (通称元信乃庭)

方丈の南と西に面して作庭されている。南面の庭は一面に苔が張りつめた平坦地に赤松を植栽されたのみで、禅院の方丈前庭に多く見られる形態である。西面の庭は、枯山水様式で絵画的な構築の鑑賞本位の庭園である。池の中央部に中島を配した亀島を、西側に三尊石、南西部に蓬莱島、手前に鶴島、北西部築山の奥には立石による段落ちの枯れ滝を組み、栗石を敷いて渓流を表現している。中島の岬には二ヶ所の石橋が渡され、石組みの表現は豪快華麗のなかに閑静な趣がある。室町時代の画聖狩野元信の作と伝えられている(退蔵院前の高札より)

 

昭和6年、文部省の史跡並名勝の庭園に指定を受ける。退蔵院は1404 (応永11)年、一膳の豪族波多野出雲守が妙心寺第三世無因禅師を開山として創建された。

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