2017/03/05

ギルガメシュ叙事詩(1)



 主人公のギルガメシュは紀元前2600年ごろ、シュメールの都市国家ウルクに実在したとされる王であるが、後に伝説化して物語の主人公にされたと考えられる。

 最古の写本は、紀元前2千年紀初頭に作成された、シュメール語版ギルガメシュ諸伝承の写本。

 シュメール語版の編纂は、紀元前3千年紀に遡る可能性が極めて高い

 叙事詩を構成する個々の題材が、シュメール時代には既に流布していたことを示している。

 時代が下がるとともに主題や思想が組み込まれ、シュメール伝承を基に紀元前1800年頃に最初のアッカド語版が完成すると、中期バビロニア版、ヒッタイト語版、フルリ語版など様々な方言に区分されるようになる。

 標準版と呼ばれるものは、それらの区分された版とは別に、標準バビロニア語を用いて編集されたアッカド語版のことを指す(紀元前12世紀成立)。

 アッカド語にはアッシリア語や古バビロニア語など、方言程度の違いを有する幾つかの言語を含み、特にどの方言か明瞭でない場合にアッカド語、またはセム語と呼称する。

粘土版 1
 語り手による「全てを見たる人」として導入されるギルガメシュを讃える叙述から始まり「周壁持つウルクの守り手」、「強く見目良く賢い人」などの紹介が続く。

 語り手が言うには、ギルガメシュは

 「全てを知り、遥かを旅し、疲れ果てて帰国(そして安らぎを得て)、碑石(またはラピスラズリ)に功労を記した
 
 ギルガメシュがいかに賢明な王であったか、彼が築いたウルクの街並みや神殿が、いかに立派であったかについても言及されている。

 続いて物語へ入り、改めてギルガメシュのプロフィールが明かされていく。

 ギルガメシュはウルクの王で、2/3が神、1/3が人間の半神半人であった。

 完成されたギルガメシュの慢心を諌めるため、アルルは粘土からエンキドゥを造る。

 野に放たれたエンキドゥと、神聖娼婦シャムハトが出会う。

粘土版 2
 シャムハトはエンキドゥに人間の食物を与えたりと人間らしさを培うと、2人でウルクを訪れる。

 激しい戦いが始まるが、ギルガメシュとエンキドゥは互いの力を認めると、抱擁を交わして友だちになる。

粘土版 3
 ギルガメシュは杉を得るため、杉の森に住む怪物フンババを倒すことをエンキドゥに提案。

 ギルガメシュはニンスンを訪問すると、ニンスンはシャマシュに2人の加護を祈り、エンキドゥを養子に迎え入れる。

 2人の森への遠征を、ウルクの民たちは祝福し送り出す。

補足
 長老たちは初め、フンババとその見張りは強いので危険であるとし、ギルガメシュに「年が若いから気持ちがはやっている」と言って遠征に反対したが、シャマシュの加護があることを祈って結果的に承諾することとなった。

 杉の森はシャマシュが所轄しているため、遠征に際しその成功と無事を祈祷する前、ギルガメシュがシャマシュに杉森への立ち入りを申し出て、許可をもらうシーンがある。

 アッカド語版で言う杉とはレバノン杉と同定であるが、しばしば香柏とも言われ、針葉樹一般を指す。

 またその目的地は西方となっているが、一説には東方に位置するザグロス山脈にあたる地域である、とも考えられている。

粘土版 4

 2人は45日分に及ぶ距離(1500㎞)を3日間で歩いた。

 更に歩き進め森の入口に到着すると、フンババの手下がいて見張りをしていた。

 それを見たギルガメシュは怖気づくが、エンキドゥとシャマシュの励ましを受け、見張りの者たちと戦う。

 エンキドゥは呪いの掛かった門に触れて手に思わぬ痛手を負うも、今度はギルガメシュが励まし、2人は森へ入って行く。

補足
 シャマシュはギルガメシュに、杉森までの案内役として合成獣とおぼしき遣い魔、または守護霊を与えている。

 杉の森に向かう途中、ギルガメシュは連日に渡り夢を見ており、エンキドゥはそれらの夢をシャマシュによる加護があることを告げる吉兆だと解いた。

 そして現に事実となる。

 2人が森へ入る直前

 「フンババは、まだ7つの鎧の内1つしか身につけていないから、今のうちに急いで打ち倒しなさい」

 と言うシャマシュの助言を受け、2人は急いで山に近づく。

 その時フンババが異変に気付き、洪水の如く激しい叫び声を上げたために2人は怖気づいてしまった。

 4版は破損が多く、推察されたものが多い。

 補足内容は、月本訳に準拠したもの。
Wikipedia引用

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