粘土版 5
森に入った2人が杉の立派さに心を奪われていると、ほどなくしてフンババが駆けつけてきた。
森に入った2人が杉の立派さに心を奪われていると、ほどなくしてフンババが駆けつけてきた。
戦いが始まると、山は揺れ空は暗くなる。
シャマシュは「恐れるな」と声を掛け「大なる風、北風、南風、つむじ風、嵐の風、凍てつく風、怒涛の風、熱風」に及ぶ8つの風を起こして援護し、フンババを降参させた。
するとフンババが命乞いをするので、ギルガメシュは聞き入れようとするが、エンキドゥは殺すことを勧める。
ギルガメシュが第1撃を、エンキドゥが第2、第3と切り付けフンババは息絶えた。
山はざわめきを上げて静まり返り、森にも静けさが戻った。
2人は杉を伐って船を造り、杉の大木とフンババの首を持ってウルクへ帰還。
補足
矢島訳では第5の書版に夢解きの内容が入り、フンババとの戦いに関しては比較的控え目な演出となっているが、月本訳では夢解きが第4版に記され、第5版はフンババとの戦いを中心に会話が幾らか多めに展開する。
例として、フンババが「お前の喉と首を噛み砕く」と言ってギルガメシュを脅したり、エンキドゥにはギルガメシュを連れてきたことに不満と疑問を漏らした。
古バビロニア版では、フンババの最期をフンババが持つ7層の光輝に倣って「7つの恐れが殺された」と表現しているほか、シュメール版ではギルガメシュが策略を用いて知将性を発揮するなど、フンババ征伐までの流れは、粘土板によってバリエーション豊かである。
ただしシャマシュが介入していることと、エンキドゥのフンババを絶対に始末する、という姿勢に大きな差異は認められない。
エンキドゥがフンババの命乞いを却下したのは、フンババの反撃、或いはエンリルに密告されることを恐れたためである(ギルガメシュとエンキドゥは、フンババを森の番人として差し向けたのがエンリルだと知っていたことが、文中から読み取れる)。
その実、エンリルを怒らせないための対策として、2人はあらかじめエンリルの住むニップル市にユーフラテス川から杉を運び込み奉納していたが、エンリルはギルガメシュたちが持ち帰ったフンババの首を見た途端、激怒した。
その後、エンリルはフンババが持つ7層の光輝を地上の各地に振り分けるという処置を行い、フンババ征伐一連の物語は締めくくられる。
粘土版 6
ウルクに凱旋したギルガメシュは髪を洗い身を清め、王の衣服を纏った。
その美しく立派な姿を見初めた愛と美の女神イシュタルは、すぐさま彼に求婚する。
ギルガメシュは「あなたをもらうのに、何を差し上げたらよいのか」と語り始めると、イシュタルの愛人(配偶神ドゥムジなど)の悲惨な末路を数え上げ、その不貞を指摘し求婚を断った。
イシュタルは立腹し、ギルガメシュを殺害しウルクごと滅ぼすため、父アヌに聖牛グガランナを送ることを求めるがアヌは拒否する。
イシュタルは冥界から多数の死者を蘇らせ、地上に生ける者を喰わせると言ってアヌを脅し、グガランナを造らせた。
グガランナがイシュタルに導かれウルクを破壊していくと、ユーフラテス川の水位が下がり、地上はえぐられ、多くの人間が命を落とす。
ギルガメシュとエンキドゥはウルクの危機に駆けつけ、2人協力してグガランナを倒しその心臓をシャマシュに捧げた。
イシュタルは怒り、城の頂からギルガメシュに向かって呪いを吐いたが、怒ったエンキドゥが雄牛の死骸から腿を引きちぎり、それをイシュタルの顔面に投げつけて「お前も成敗してやろうか」などと言い放つ。
イシュタルは退き、嘆いた。
ウルクは歓喜し、2人の英雄ギルガメシュとエンキドゥを讃えた。
その夜、エンキドゥは不吉な夢を見た。
その内容をギルガメシュに語り出す。
「何故、大神は会議を開いているのか」
補足
イシュタルはギルガメシュ凱旋の噂を聞きつけ、その様を見ようとエアンナからギルガメシュの王宮へ出掛けた際に惚れたとする説もある。
もっとも、2人は他の神話から察するに常に敵対していたとは言い難い。
また、イシュタルと結婚することは「聖婚儀礼」に連結し「神の座に就くこと」を意味する。
物語はギルガメシュを、半神と伝えながら常に人間の側に立たせており、神の座につくことを己の崩壊に結び付けたのだとしたら、ギルガメシュがイシュタルの求婚を受け入れなかったのは「自身の神格化を拒絶した」ということに等しい。
ギルガメシュは雄牛を始末した後、ラピスラズリでできた角に入っていた約250リットルの油をルガルバンダに贈り、角の方はギルガメシュが自身の寝室に飾った。
シュメール版では異なり、ギルガメシュは雄牛の肉を貧しい子どもたちに分け与え、角はイシュタルに奉献されている。
※Wikipedia引用
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