2007/06/02

新横綱の誕生

 「新横綱・白鵬」が誕生した。しばらくの間続いた朝青龍の一人横綱の時代にピリオドを打つとともに、新しい時代の到来を感じさせるような、スケールの大きな横綱として白鵬への期待は大きい。

あのバカ強かった朝青龍に匹敵するほどまで、すっかり力をつけてきた白鵬であり、同じモンゴル力士とはいえ両者がまったく対照的なタイプである事が、このライバル関係をより一層、興味深いものにしていきそうな期待を持たせる。

まさに、静と動である。仕切りの時から鬼のような表情で睨みを利かせ、必要以上の威嚇で相手を戦意喪失に追い込んで行くのを身上としているような朝青龍に対し、水が流れるようなゆったりとした仕切りの美しさが白鵬にはある。

立会いから爆発するような、人間離れのした集中力と圧倒的な体幹の強さ、さらには動物的な勘と反射神経で、相手の力を徹底して封じ込めて自分のペースで一気に勝負を決してしまうのが朝青龍であり、対照的に真正面から相手の力を吸収して、相手に合わせてじっくりと構えながら料理をしていくのが白鵬である。

白鵬といえば、必ず出てくるのが次のエピソードだ。

<元々、日本の相撲に興味はあったが、少年時代から仲良しだった保志光が力士になるため日本に渡ってから相撲への想いが一層強くなり、大相撲で活躍していた同じモンゴル出身の旭鷲山を伝手に、20001025日に6人のモンゴル人と共に来日。大阪の摂津倉庫で、相撲を習っていた。

共に来日した猛虎浪(立浪部屋)、大想源(式秀部屋)、大河(式秀部屋)らの入門が決まるなか、小柄だった白鵬を受け入れてくれる部屋は最後までなかった。失意の帰国前日、彼を哀れんだ旭鷲山が師匠である大島(元大関・旭國)と会食中に相談し、大島親方は友人であった当時の宮城野親方(元幕内・竹葉山、現・熊ヶ谷)に受け入れを申し入れた>

そうした苦労が下地となってか、実際のところはわからないがTVで見ている限り白鵬には殺伐とした某横綱とは違い、人間的な優しさを感じずにはいられない。勝てば官軍とばかり、土俵の内外を問わず常識から外れた言動が目に余る某横綱とは対照的に、土俵上からも垣間見える相手への気遣いなど、白鵬には「品格力量ともに抜群」という器の大きな横綱になっていただきたいものだと、こっそりと応援したくなる好漢である。

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