2018/03/28

美の女神アフロディテ(ギリシャ神話31)

ギリシア語:アフロディテ(Aphrodite) 、ラテン語:ウェヌス(Venus) 、英語:ヴィーナス(Venus)

出典 http://www.ozawa-katsuhiko.com/index.html

美の女神アフロディテ
 彼女をめぐる神話として、ヘシオドスによるウラノスの切り取られた男xからの生誕物語が非常に有名である。それによると、初代の神であった天の神ウラノスが大地ガイアとの間に子供をもうけていったが、百手の怪人神ヘカトンケイレス兄弟を生んだ時、その巨大な力と容貌を恐れ、大地ガイアの腹の奥深くに彼等を押し込めてしまった。ガイアは苦しさに呻いて復讐を企て、先に生まれていた子供たちに助力を頼む。しかし、誰もがウラノスの力を恐れて尻込みするなか、一族の末っ子であったクロノスが助力を申し出て、策略を授かり大きな鎌を手にベッドの傍らに隠れ潜むことになった。
 
 その夜も、天神ウラノスが子供を作ろうと女神ガイアの上に覆い被さって来た時を狙い、鎌を持って隠れていたクロノスがやにわに現れ、ウラノスの巨大な男xをひっつかんで、その鎌でバッサリきり取ってしまった。こうしてクロノスは支配権を奪われ、一方、切り取られた男xの方は海に捨てられ、波間に漂うちにその周りに
泡(アフロディテの「アフロ」とは「泡」という意味)が立ち、そこから素晴らしく美しい女神が生まれてきた。これが女神アフロディテ生誕の物語であるが、その彼女にはウラノスの男xが切り取られた時、流れた血から生まれた「復讐の女神」や「凶暴な巨人ギガンテス」、「槍の柄となるトネリコの精」など血に塗れた兄弟・姉妹がいて、美女の性質がどんなものかを暗示している。

 他方、ホメロスの叙事詩では「ゼウスとディオネの娘」とされ、アフロディテの出生については二つの神話があり、実際古代ギリシャでは「二人のアフロディテ」という見なされかたもあった(哲学者プラトンの『シュムポシオン』が有名で重要)詩人ホメロスの『オデュッセイア』では、彼女は醜くしかも足に障害をもった鍛冶屋の神ヘパイストスの妻とされ、戦争・殺戮の神アレスとの不倫物語が有名である。彼等は、ベッドにいるところをヘパイストスの目に見えない網に捕らえられ、他の神々にその淫らな姿を晒し者にされてしまった。

彼女はオリュンポスの12に数えられているが、ホメロスの場合なら分かるが、ヘシオドスの神話では、どうして「オリュンポスの神」になれるのか分からない。彼女は、その後「息子」ということになった「愛の神エロス」を伴って、いたるところで祭られてはいるが、聖地としては彼女が海から流れ着いたとされる東方のキプロス島が有名である。

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