出典 http://www.vivonet.co.jp/rekisi/index.html#xad15_inca
エリッサ(Elissa)
フェニキアのティルス(現在はレバノンのスール)の王女エリッサは、共同統治者である兄のピグマリオンに夫を暗殺され、自分も命を狙われた。彼女は財宝を船に積み、ティルスを脱出してキプロス島に逃げた。ここで人員を補充し、地中海を彷徨いながらチュニスにたどり着いた。
チュニスが気に入ったエリッサはここに落ち着くことに決め、カルタゴの町を建設した(BC814年)。カルタゴとは、フェニキア語でカルト・ハダシュト(新しい町)の意味。
ビュルサ
エリッサがカルタゴを建設する時、現地人は牛皮(ビュルサ)1枚で覆える土地を譲ろうと言った。彼女は「では」と言ってその皮を細くひも状に切って、ぐるっと広い土地を囲った。
エリッサは町の基本法を制定した。権力は二人の最高官に配分され、貴族と一般市民には一定の権利が与えられた。この法律は、アリストテレスも絶賛するほど優れたもので、7世紀以上にわたるカルタゴの繁栄を支えた。エリッサは別名ディド(迷える人)といい、ローマの詩人ウェルギリウスは、叙事詩アイネアスの中で、ディドとアイネアスの恋の物語を描いている。
ディド(Dido)
トロイの英雄アイネアス(Aeneas)は、トロイ王家のアンキセスと愛の女神ビーナスとの間に産まれた美しい青年だった。彼は、木馬の計によって燃えさかるトロイを脱出し、トロイを再興すべくイタリアを目指して船出した。しかし、途中で嵐に合い、地中海を彷徨ってカルタゴに漂着した。
そこで彼は輝くばかりに美しいディドに出会う。ディドはたびたび彼を宴に招き、トロイの話を夢中になって聞いた。二人は恋に落ち、ある日狩りに出かけた。すると突然の嵐が二人を襲い、難を避けるために逃げ込んだ洞窟で二人は結ばれた。
しかし、彼はローマを建国する運命にあり、ディドを振り切ってカルタゴを去る決心をした。トロイア人達を乗せた舟が港から出て行くのを見たディドは、彼とその子孫(ローマ)を呪い、アイネアスにもらった短剣で胸を刺した。
こうしてローマとカルタゴは戦うべく運命付けられた。
0 件のコメント:
コメントを投稿