カッサンドラー
カッサンドラー (Kassandrā) はトロイア王、プリアモスの娘である。アポローンはカッサンドラーの美貌に懸想し、求愛する。自分の愛を受け入れれば「百発百中の予言能力」を授けるとカッサンドラーを誘惑する。カッサンドラーは、それを受け入れ「予言能力」を手に入れるが、その瞬間「アポローンに弄ばれたあげく、捨てられる自分の運命」を予言してしまう。
カッサンドラーは、すぐさまアポローンの許を去る。アポローンは怒り「カッサンドラーの予言は誰も信じない」という呪いを掛けた。後に、ギリシア諸ポリスとトロイアとの間でトロイア戦争が起きると、カッサンドラーはトロイアの悲劇的滅亡を予言し、父王プリアモスらに警告するが、誰もそれを信じなかった。はたしてトロイアは、カッサンドラーの予言通り、アカイア人(ギリシア)との戦争に敗れ、滅亡するのである。
ヒュアキントス
ヒュアキントスはペラ王ピーエロスと、歴史のムーサであるクレイオーとの間に生まれた美少年である。スパルタのアミュークライ市で生まれたという。アポローンと西風の神ゼピュロスの2人がヒュアキントスの気を惹こうとしたが、彼はアポローンとばかり仲良くしていた。
ある日、2人が仲良く円盤投げを楽しんでいた時、アポローンの投げた円盤がヒュアキュントスの頭部に激突、少年は息を引き取った。これはゼピュロスが2人の仲睦まじい様子を空から見て嫉妬し、円盤の飛ぶ方向を風で狂わせたためであった。アポローンは嘆き悲しんだが、溢れ出た少年の真っ赤な血の中から、赤い花が咲いた。この花は少年の名にちなんで「ヒュアキントス(ヒアシンス)」と呼ばれた。
ただし、このヒュアキントスが現在ヒアシンスと呼ばれる花と同じものであると断定することはできない。その後、スパルタでは毎年、初夏にヒュアキンティアという彼の死を記念した祭典が行われたという。ヒアシンスは多年生の球根植物である。古代ギリシア人は、初夏に開花して間もなく枯れ、次の年の備えをするヒアシンスの習性に死と復活を重ね合わせて見たのであろう。
ギガントマキアー
巨人戦争ギガントマキアーにもアポローンは参戦した。アポローンはヘーラクレースと共闘し、ギガースの一人であるエピアルテスの左目を射た。ギガースは神々に対しては不死身であったため、それだけでは死ななかったが、すかさず半神半人のヘーラクレースによって右目を射られ、絶命した。
アカンサス
アポローンからの寵愛を受け続けた妖精。しかしアカンサスは拒み続け、ある日アポローンの顔に傷をつけてしまい、アポローンによりアカンサスの花に変えられてしまった。
起源
ギリシア的な神とされるが、『イーリアス』では常にトロイア側に加担している。また、母親とされるレートーは、元来は小アジアで信仰された大地の女神で、アポローンはこれに付き従う植物神を核として形成された、複数の神格の集合体と考えられている。その名前も、ギリシア語に由来するものではないというのが一般的な見解である。
また、生誕後、ギリシアに現れる前の一時期を北方の民ヒュペルボレオイの国で暮らしていたとされ、北海沿岸の琥珀産地と地中海沿岸を結ぶ交易路「琥珀の道」とも深いかかわりを持つ神だと考えられている。さらにアルテミスの起源は北アフリカとされ、この女神と双子であるという性格は、地中海周辺で崇拝されていた女神群の配偶者群(タンムーズ、アドーニス、オシーリスなど)と同列のものと考えられる。
デルポイ遺跡
デルポイはアポローンの神託所で、ギリシア世界では最大の権威を持つ聖地であるが、少なくともミケーネ文明以前の時代から開けており、元は他の別神格の信仰中心地であったと考えられる。神話によれば、もともとガイアの聖地だったものを、番人の大蛇ピュートーンを射殺して奪ったものだという。神託は巫女ピューティアーにより、詩の形で与えられた。ギリシア人たちは、主に植民市建設の助言を貰い受けるためにデルポイを訪れ、デルポイは捧げ物によって繁栄を謳歌した。戦勝記念にもギリシア各地から贈り物が届けられ、マラトンの戦いの際にはアテナイから神殿が寄贈され、ガウガメラの戦いの勝利後には東方遠征中のアレクサンドロス大王から、敵兵の武具が寄贈された。
このほか、ヘーリオン山、生誕地とされるデーロス島、ミーレートス市近郊のディデュマもアポローンの聖地とされる。
ピューティア大祭
アポローンを讃える祭事はギリシアで広く行われていた。特に有名なのはデルポイを開催地として行われていたピューティア大祭であり、4年に1度、古代オリンピックの開催年と被らないように開かれた。音楽演奏の競技が最初に行われていたが、やがてキタラーの伴奏付きの歌唱や、フルートの演奏、フルートの伴奏による歌唱などが加わった。更に、演劇の上演コンクールや、詩や散文作品の朗読競技が行われ、紀元前582年以降では、オリュンピア大祭に倣って、各種の運動競技も加わり、また戦車(チャリオット)による競争も加わるようになった。
これらの数々の競技には、全ギリシアから参加者やその見物人が集まり、古代ギリシアの国際親善の場とも機会ともなった。各種競技の優勝者には、アポローンの聖樹であるダプネー(月桂樹の葉で飾られた冠)が贈られ、これを「月桂冠」と称した。
異名とローマ神話
ホメーロスではポイボス・アポローン(Phoibos Apollōn)とも呼ばれる。ポイボスは「輝ける」の意と解される。このほかの異称には、ロクシアース、パイアーン、リュキオス、ヒュアキンティオス、アリュギュロトクソス(銀の弓矢を持つ神)などがある。
アポローン信仰は、イタリア半島のギリシア植民地クーマエを通じて古代ローマにもたらされた。ローマ神話においては、主要な神格がギリシア神話の神格と同化されたが、その中でアポローンだけは双方に共通する名をもつ神であり、ラテン語でアポロー(羅: APOLLO, Apollō)と呼ばれた。「ポイボス」もラテン語形でポエブス (Phoebus) と呼ばれた。
※Wikipedia引用
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