2018/03/07

古代ギリシア


出典 http://www.geocities.jp/timeway/index.html

前12世紀にミケーネ文明が滅んでから数百年間は暗黒時代。社会がどのようだったのかは、よく分かっていません。前8世紀頃になって、ギリシア文明が姿をあらわしてきます。

このギリシア文明はわれわれに大きな影響を与えている。まず、民主主義の元祖です。今の民主主義は西欧で生まれたのですが、その西欧の人々がモデルに したのが、この古代ギリシアです。それから哲学や芸術など、我々になじみ深い西欧文化の元祖でもある。ソクラテスは、聞いたことがあるでしょう。仏陀や孔子の本は課題図書にならないけど「ソクラテスの弁明」は夏休みの課題図書になるね。というわけで、古代ギリシアは重要です。

ギリシア文明の場所を確認、バルカン半島の南端、ここがギリシア本土です。それからイオニア地方、ここもギリシア人の世界です。ギリシア人はインド=ヨーロッパ語族。前20世紀頃から、この地方に南下してきたアカイア人、イオニア人、ドーリア人をまとめてギリシア人という。彼らは、このギリシア世界を統一する大きな国を作ることはありませんでした。 彼らは多くの都市国家を作って、ここで生活します。その都市国家のことをポリスといいます。前8世紀頃には、ギリシアの各地域の人々が集まって住み始めてポリス社会が形成されてきます。集まって住むことを集住という、当たり前だね。これをギリシア語でシノイキスモスといっています。何故か知らないけど、こういう単語が入試できかれる。

 代表的なポリスが、アテネとスパルタ。ポリスの構造も大事なので抑えておきましょう。ポリスの真ん中には、だいたい小高い丘がある。丘の上には城塞があって戦争の時、これが最後の守りです。この城塞は、神殿と一緒になっていることが多いようです。アテネの写真を見て、ちょっと小高い丘、上に立っているのはパルテノン神殿。この町の中心となる丘をアクロポリスという。アクロポリスの麓には、アゴラと呼ばれる広場があります。ここが政治、経済の中心となる。

ポリスの市民達は、暇があったらここに集まっておしゃべりや体操するのね。その周りに、市民の住宅が密集しています。最後に、それを取り巻いて城壁が築かれている。これが典型的なポリスの構造です。で、このポリスの周辺に農地があって、これもポリスの領土です。このポリスの領域は、大きいモノでも日本の県くらいです。殆どはもっと小さい。こういうポリスが、ギリシア本土やイオニア地方にいっぱいあるわけです。

ポリスには三種類の身分の住民がいます。まずは貴族。それから平民。この二つの身分が市民です。そして奴隷と外人。彼らは市民として扱われません。ギリシアは奴隷制社会で、だいたいの市民は奴隷を持っていて、彼らに畑仕事をやらせていたようです。あと、鉱山なんかで奴隷は働かされていた。外人は商売のために来ている者が多い。

 アテネの写真を見ても分かるように、ギリシアというのは山が多いのね。大きな平野はあまりありません。だから山の斜面で農業をする。雨もあまり降らな いから穀物生産には向かない。何を作っているかというと、果樹栽培で、ブドウとかオリーブを盛んに作る。しかし、これはワインやオイルの原料にはなるが、主食としてオリーブばかり 食べてるわけにはいかないでしょ。で、ギリシア人はどうしたかというと、これを海外に持っていって穀物と替えてくるわけです。大穀倉地帯のエジプトなどと貿易する。というわけで早い時期からギリシアでは海上貿易が盛んに行われていました。有名な哲学者のプラトンも果樹園を持っていて、収入源はエジプトとの貿易だったらしいです。

貿易で儲けて豊かになってくると人口も増える。ところがギリシアは狭いし、人が増えても住むところがない。これを解決する方法が二つあった。一つは海外植民です。黒海沿岸や、イタリア半島、シチリア島等にどんどん植民していきます。植民市なんていうんだけどね、これが増えれば母市も一層貿易に有利だね。イタリア半島の南端やシチリア島沿岸は、そういうギリシア人のポリスがたくさん出来てマグナ・グレキア、大ギリシアなんて呼ばれました。もう一つがギリシアの内部で、よそのポリスから土地を分捕ってくることです。そんなわけでギリシアでは、しょっちゅうポリス同士で戦争をしています。

 ところが、戦争ばかりしているんだけれども、彼らはお互いギリシア人だ、と いう同胞意識も強く持っていました。どんなところで同胞意識を持つかというと、まずは言葉。ギリシア語以外の言葉を話す人たちのことをバルバロイと言って軽蔑していた。バルバロイとは、汚い言葉を話す人たちという意味です。ベロベロバロバロ言ってるように聞こえたんだろうね。これがバーバリアン野蛮人という英語の語源です。

それからギリシア全土が参加する、色々なお祭りがあった。代表的なのがオ リンピアの祭典、いわゆるオリンピックです。これは前8世紀から4年ごとにずっと開かれます。各ポリスから選び抜かれた選手達がオリンピアに集まって、円盤投げとかレスリングとか、戦争に直接関 わるような競技が中心ですが、それで栄誉を競い合うわけです。優勝しても賞金とかないけれど、全ギリシア世界にその名前がとどろき渡って、優勝者の彫像が作られて神殿に奉納されたりする。名誉なんですよ。重要なのが「オリンピックの平和」というものです。エリスというポリスがオリンピアの祭典を主催するのだけれど、開催前にはエリスから開催を告げる使者が全ギリシアのポリスをめぐって全ての戦争の休戦を告げるんです。オリンピックは三ヶ月間やるんだけれど、その間一切戦争は禁止なわけ。各ポリスは これをちゃんと守るんですな。

近代オリンピックは、クーベルタンという人がこの古代オリンピックを理想として始められた。平和の祭典とか言うけれど、実際にはどこかで戦争をやっています。もとになっている文化が違うから、なかなか古代ギリシアのようにはいき ませんね。何故、ギリシアではスポーツ競技会のために戦争まで中止したかというと、オリンピックそのものがゼウス神に捧げる儀式なんだね。宗教行事と言ってもいいでしょう。ペルシアの大軍がギリシアに攻め込んできた時にも、オリンピックは開催しているんです。神に捧げる儀式だから、やめたくてもやめられないような性質のものだったんでしょうね。

休戦を破ったらどうなるかというと、オリンピックの参加権がなくなる。それ から、デルフォイの神託がもらえなくなる。デルフォイの神託というのはデルフォイ神殿の巫女さんのお告げです。霊験あらたかで、ギリシア人みんなが信じ ているのです。なんだかんだ言っても、当時のギリシア人も困ったときには神の お告げをきくんだね。それが出来なくなるのは困るわけです。

それからオリンピックは女人禁制です。会場は神聖な場所だからですよ。見物 客は4万人位集まったといいますが、みんな男。そして選手はみんな裸。トレ ーナーも裸。なんだかね。古代ギリシアは男の世界です。

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