2018/04/26

アルテミス(ギリシャ神話34)

アルテミス女神については、オウィディウスなどが『変身物語』において、読み物風の恋愛譚を書き残したことでよく知られる。オーリーオーンとの恋愛の話などが存在する。

カリストー
カリストー(Kallistōはアルカディアのニュムペーであるが、純潔を誓い、アルテミス女神に従っていた。ゼウスは姿を変えてカリストーに近づき、彼女を愛した。こうして二人の間にアルカディアの祖となるアルカスができるが、アルテミスはこれを怒り、彼女を雌熊に変えた(一説では、ヘーラーが、またゼウス自身が、雌熊に変えた)。カリストーはアルテミス女神によって殺されたとも、息子アルカスがそれと知らず熊と思い彼女を殺したともされる。

ゼウスはカリストーを憐れんで天に上げ、おおぐま座にしたとされる。息子アルカスはこぐま座となった(なお、うしかい座もアルカスの姿であるとされる)。しかしこのカリストーは、本来は「アルテミス・カリステー」(Artemis Kallistē, もっとも美しいアルテミス)であり、アルテミス自身のことであったと考えられる。

アクタイオーン
アクタイオーン(Aktaiōnは、アポローンの子アリスタイオスと、カドモスの娘アウトノエーとの間に生まれた子で、猟師であった。彼は、キタイローン山中で50頭の犬を連れて猟をしていたが、たまたまアルテミスが泉で水浴している姿を垣間見、女神の裸身を見た。アルテミスは怒り、アクタイオーンを鹿に変え、その連れていた50頭の犬に襲わせた。犬たちによってアクタイオーンは引き裂かれて死んだ。

オーリーオーン
オーリーオーン(Ōrīōnは、ポセイドーンの息子である。彼は陸でも海でも歩くことができ、そして非常な豪腕の持ち主で、太い棍棒を使って野山の獣を狩る、ギリシア一番の猟師であった。

狩猟の女神であるアルテミスと、ギリシア随一の狩人であるオーリーオーンは次第に仲良くなっていき、神々の間でも二人は、やがて結婚するだろうと噂されるようになっていった。しかし、アルテミスの双子の弟(兄)であるアポローンは、乱暴なオーリーオーンが嫌いだった事と、純潔を司る処女神である彼女に恋愛が許されない事から、二人の関係を快く思わなかった。だが、アルテミスはアポローンの思惑を気にしなかった。

そこでアポローンは、奸計を以てアルテミスを騙す挙に出た。アポローンは、アルテミスの弓の腕をわざと馬鹿にし、海に入って頭部だけ水面に出していたオーリーオーンを指さしして「あれを射ることができるか」と挑発した。オーリーオーンは、アポローンの罠で遠くにいたため、アルテミスはそれがオーリーオーンとは気づかなかった。

アルテミスは矢を放ち、オーリーオーンは矢に射られて死んだ。女神がオーリーオーンの死を知ったのは、翌日にオーリーオーンの遺骸が浜辺に打ち上げられてからだった。アルテミスは、後に神となった医師アスクレーピオスを訪ね、オーリーオーンの復活を依頼したが、冥府の王ハーデースがそれに異を唱えた。

アルテミスは、父であり神々の長であるゼウスに訴えるが、ゼウスも死者の復活を認めることはできず、代わりにオーリーオーンを天にあげ、星座とすることでアルテミスを慰めた。なお、さそり座はアポローンが謀ってオーリーオーンを襲わせ、彼が海に入る原因となったサソリであるとされた。そのため、オリオン座は今もさそり座が昇ってくると、それから逃げて西に沈んでいくという。

その他
    アポローンがヘーリオスと同一視され太陽神とされたように、後期にはセレーネーと混同されて月の女神とされた。また月と関係のあるヘカテーと混同、または同一視されることがある。天では月の女神セレーネー、地では狩猟の女神アルテミス、冥界では夜と魔術の女神ヘカテーとされた

    銀の光の矢を放つ月の女神として、海を支配するポセイドーンの領国に対し神秘的な力を持っており、海の潮を銀の鎖で自在に操ることができる。

    アルテミスは異母姉妹であるアテーナーを敬愛し、アテーナーにならい永遠に純潔の処女であることを父のゼウスに誓いを立て、また自らの配下であるニュムペーたちにも同樣の誓いを立てるようにと厳命され遵守していた。

    気の強さを表すエピソードの多いアルテミスであるが、トロイア戦争で自らが支援したトロイアが滅亡した際には、父であるゼウスに泣きつくという意外な一面を見せている。

    ギガントマキアーにおいては、ギガンテスの一人グラティオーンを倒している。

    エペソスにおけるアルテミス崇拝は、マルセイユを経てローマに伝わり、女神はローマ神話のディアーナと同一視された。

    薬草アルテミシア(ヨモギ属)の名はアルテミスに由来し、女性の月経や分娩を整えるなど、多くの効能からよく用いられた。

    聖獣は牝熊、鹿、猟犬で、聖樹は糸杉である。

    ヤママユガ科の蛾の一種であるオオミズアオの学名は Actias artemis (アクティアス・アルテミス)。

出典 Wikipedia

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