ギリシア語:アルテミス(Artemis)、ラテン語:ディアナ(Diana)、英語:ダイアナ(Diana)
純潔と狩りの女神アルテミス
アルテミスは、本来アポロンと双子の姉妹であるが、彼女は「乙女の純潔」を司っている「永遠の処女」であり、イメージとして「若い処女」と映る。それゆえアポロンの妹、それも年の若い妹といった雰囲気を持っている。実際、神話でも彼女は処女の持つ潔癖な面を見せ、弓矢を持ち常に森の妖精を従えて山野を駆け巡って狩りをしていて、どうみても「若いスポーツ選手のような女神」といった感じになってしまう。
一方、彼女は狩りの神として野獣の守り手であり、野獣が多産であるところから、処女のくせに「産褥」まで司ってしまう。女性が出産の場で死んだ時(古代は、しばしばあった)、アルテミスによって矢を射られたとされた。その他、彼女はギリシャ悲劇でも大活躍をし「イピゲネイア伝説」での影の主人公であり、またエウリピデスの『ヒッポリュトス』でも重要な役を演じている。
彼女の主要な聖地はアテナイにほど近いヴラウロンで、そこにはイピゲネイアの社と墓の後も残っている。彼女の聖獣は「熊あるいは鹿」となる。
出典 http://www.ozawa-katsuhiko.com/index.html
アルテミス(古希: ΑΡΤΕΜΙΣ, Ἄρτεμις, Artemis)は、ギリシア神話に登場する狩猟・貞潔の女神である。のちに月の女神ともなった。セレーネーやヘカテーなどの女神とは、同一視されることがある。アテーナー、ヘスティアーと並んで、ギリシア神話の三大処女神として著名である。
アルテミスは、ゼウスとデーメーテールあるいはペルセポネーの娘とも、あるいはディオニューソスとイーシスとの間に生まれた娘とも言われているが、ギリシア人に普及した伝承によればゼウスとレートーの娘で、アポローンの双生児とされている。オリュムポス十二神の一柱とされるが、本来のヘレーネス(古代ギリシア人)固有の神ではない。
その名は、古典ギリシア語を語源としていないと考えるのが妥当である。アルテミスは、ギリシアの先住民族の信仰を古代ギリシア人が取り入れたものと、現在の研究では考えられている。
女神の原像
古くは山野の女神で、野獣(特に熊)と関わりの深い神であったようである。アテーナイには、アルテミスのために少女たちが黄色の衣を着て、熊を真似て踊る祭があった。また女神に従っていた少女カリストーは、男性(実はアルテミスの父ゼウス)との交わりによって処女性を失ったことでアルテミスの怒りを買い、そのため牝熊に変えられた。また、多産をもたらす出産の守護神の面も持ち、妊婦達の守護神としてエイレイテュイアと同一視された。地母神であったと考えられ、子供の守護神ともされた。
女神は、森の神として弟神(兄神とも)アポローンとともに「遠矢射る」の称号をもち、疫病と死をもたらす恐ろしい神の側面も持っていた。また産褥の女に苦痛を免れる死を恵む神でもある。また神話の中では、オレステースがイーピゲネイアと共にもたらしたアルテミスの神像は、人身御供を要求する神であった。アルテミスに対する人身御供の痕跡は、ギリシアの各地に残されていた。
神としての像
古典時代の神話では、狩猟と貞潔を司る神とされる。アルテミスの祭祀は女性を中心とするものであった。神話では、ニュムペーを従えてアルカディアの山野を駆け鹿を射るが、ときには人にもその矢が向けられる。通常、アポローンとともにデーロス島で生まれたとされるが、これは後世的な伝承で、母レートーがヘーラーの嫉妬を避けて放浪した際、オルテュギアー島でまずアルテミスが生まれ、さらにデーロス島でアポローンが生まれた。
この時、アルテミスは生まれたばかりであるにもかかわらず、母の産褥に立会い助産婦の務めを果たした。この神話に、彼女が生殖や出産を司る女神の側面が見て取れる。さらに、まだ幼いうちにゼウスを探して出会い、えびらや短いチュニック、狩りの長靴をねだり、そして妊婦の守護神であることなどをゼウスに願い出たとされる。アポローンと共に行動することがあり、母を侮ったニオベーの子供たちと対決した伝説が伝わる。またアルテミスの怒りに触れて不幸をこうむったものには、英雄オーリーオーン(狩人オリオン)やアクタイオーンの伝説がある。
エペソスのアルテミス崇拝
小アジアの古代の商業都市エペソスは、アルテミス女神崇拝の一大中心地で、この地にあったアルテミス神殿は、その壮麗さで古代においては著名であった。また、この神殿は現在遺跡が残るのみであるが、近くの市庁舎に祀られていた女神の神像は今日も伝存している。この像は胸部に多数の卵形の装飾を付けた外衣をまとっており、あたかも「多数の乳房を持つ」ように見える(この像は一般に「多数の乳房を持つ豊穣の女神」として知られ紹介されるが、異説として女神への生け贄とされた牡牛の睾丸をつけられているともされる)。
小アジアにおけるキュベレーなどの大地母神信仰と混交して、独特なアルテミス崇拝が存在していたと想定されている。それは植物の豊穣や多産を管掌する地母神としてのアルテミス崇拝であった。この信仰は、古代ギリシアの森や山野の処女女神アルテミスのイメージ・原像とは異なっている。また、出産の女神でもあったアルテミスの原像とも、かなり異なっている。
キリスト教における使徒であるパウロスには、『新約聖書』に『エペソス人への書簡』があり、エペソスの人々にキリスト教徒のあり方を語っているが、パウロスはアルテミス信仰と正面から戦いを挑んでいたとも考えられる(『使徒行伝』は、エペソスにおける女神信仰の様を偶像崇拝と記している)。女神の壮麗な神殿は、キリスト教の地中海世界への伝播とともに信仰の場ではなくなり、やがてゴート族の侵攻で灰燼に帰した。
※出典 Wikipedia
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