泣いているのは決して悲しいためではなく、嬉し泣きです。
この「ちゃんぽん」がどれだけ好きかと言えば、元々麺類が好きなワタクシが中でもラーメンには目がない上に、さらに屋上屋を架すかのように、ラーメンの中でも「ちゃんぽん」にはまた目がない、というくらい筋金入りだから「ちゃんぽん」と訊いただけで涎、いや涙も浮かんでこようというものではないですか (*Φ皿Φ*)ニシシシシ
これまで食べてきた中で、間違いなく最も(というか、間違いなく飛び抜けて)旨いと思ったのは、名古屋にいる時にしばしば食べていた「たなべ」という店の「ちゃんぽん」でした。
「本場・長崎ちゃんぽん」と謳ったこの店は、名古屋中心部の栄などに数店舗あったようですが、ワタクシがよく行っていた栄の丸栄スカイル裏にあった店は、九州弁の店員を揃えていました。「本場・長崎ちゃんぽん」の看板に惹かれ、最初に入った時の印象は
(狭くて薄汚い店だわい)
と言うもので、お世辞にもまた来たくなるような店ではなかった・・・おまけに九州弁でボソボソと話している店員は、ドイツモコイツモぶっきら棒かつ無愛想で、その上
「ビール!」
とオーダーすると
「当店では、やってないですが・・・」
とボソリ。
「じゃ、日本酒でもいいよ」
「アルコールは一切、置いてませんので・・・」
と、ニベもない返事が還って来るに及び
「え?
アルコールも置いてないの・・・?」
ラーメンには、何といってもギョーザとビールが欠かせないワタクシとしては
(なんだ、コイツは・・・こんな店は二度と来るかい)
と堅く心に誓った、まさにタイミングを見計らったかのように
「へい、ちゃんぽん!」
と、覇気のない声と共に出されてきたちゃんぽんを最初に見た時は、正直
オオー!!w(*゚o゚*)
という感じがしました。
なにせ、20歳そこそこだった当時まで「ちゃんぽん」などという食べ物とは縁がなかったのだから、当然といえば当然かもしれませんがそこには、かつてお目に掛かった事もないような・・・
(「ちゃんぽん」と言えば、野菜が沢山入ったラーメン)
という程度の認識しかなかった独身のワタクシとしては、日頃の野菜不足を解消する良い機会だとばかりに気楽に構えていたものでしたが、なんとこの店の「ちゃんぽん」は、麺がまったく見えないくらい多種多様な野菜が、これでもかとばかり丼からはみ出すほど、信じられないくらいまでぶち込んであるのでした。
(うーむ・・・こりゃ旨そう・・・)
一目で食欲が湧いてきましたが、超猫舌のワタクシはまずしばらくは表面に出ている野菜をつついて
(さあ、麺を喰うかー)
と野菜を掻き分けていくと、これまた見た事のないような逞しいほどに丸々とした、ブッとい麺が現われました。
(う・・・なんだ、この太過ぎる麺は・・・?)
と思いつつも意を決して食べると、これがなんとも信じられないくらいに旨いではないですか・・・(T∇T) ウウウ
あの多様な野菜と豚骨スープの出汁が、太い麺一杯に染み渡っているといった感じで到底筆舌には尽くし難いものがあります。
そして数年後・・・ある仕事の現場で親しくなった、東京から来ていた友人と飲みに行った時の事です。
「名古屋は、食い物が不味過ぎる・・・味噌とかなんとか、わざと不味くして喜んでるあの悪趣味は、到底理解できん・・・」
などと小言の百曼陀羅ばかり溢していたその人物を、件の店へ連れて行くと
「なに、この野菜は?
また、わけわからんのが出てきたわ・・・」
「いいから、ともかく喰ってから何とか言ってみろって・・・」
と強引に食わせると、小言の多いこの御仁も黙々と食べ始めたのでした。
「どうや・・・?」
「これは・・・うーむ・・・確かに旨過ぎる・・・こんな旨いもんは、名古屋に来て初めて喰ったな・・・いや、東京でもこんな旨いちゃんぽんは、喰った記憶がない・・・」
内心
(それ見たことか、この愚か者めが・・・)
と思いましたが、タコが嫌いという彼はタコのぶつ切りを残すという、マコトに惜しい食べ方をしていました。
まあワタクシからすれば、これはあくまでも「本場・長崎ちゃんぽん」だから名古屋の味とは言えないところでしたが、人に訊いた話では
「あれは、本当のちゃんぽんとは違う。『名古屋風長崎ちゃんぽん』とでも、言った方がいいんじゃーないか?」
という事ではありましたが。
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