夏はビールが旨い。ビールにはソーセージや冷や奴などが良く合うが、日本酒に刺身が欠かせないようにビールに最も合うのは枝豆である。それもスーパーやコンビニなどの出来合いのヤツではダメで、これは冷たい上に塩が効いてなくて不味い。冷凍ものなどは、もってのほかである。やはり袋に入った生を買って来て、時間をかけて鍋で茹でる。塩の効いたホカホカの出来立て・・・これこそが、やはり枝豆の王道なのである。
スーパーで買う枝豆は、時価だけにその時々で値が違ってくるが、かつて地元(愛知)にいた頃は安い時は100円、高い時で300円くらいとかなりの幅があった。1ネットを2日に分けて食べるくらいで、日持ちがしないから2~3日に一度は買いに行かなくてはいけない。夏には余程の事情がない限り、1日として欠かす事が出来ないのであり、健診の前日といえど例外ではない。
理想的には枝豆を火に掛けておき、その間に風呂で汗を流して風呂上がりに茹であがっているという寸法である。地元(愛知)の時の住居は戸建てで、風呂の窓を開けておくと台所のコンロまで見通しの利く絶妙のアングルになっていたため、風呂に入っている間に茹でておくという便利な芸当が出来た。が、マンション住まいになってからはそうもいかず、茹で上がるまでの約10分が実に手持ち無沙汰である。
この間にビールを飲んでしまうと、折角出来上がった枝豆を食べながら飲むのが2本目となり1本目に比べて味が落ちてしまうのだが、待っている間にどうしても飲んでしまう。
枝豆の茹で方は案外と難しく、早過ぎて生煮えのものは不味いし、逆にあまり茹で過ぎてダラけてしまったものは尚更いただけない。無精者で通っているワタクシだけに、知人からは
「どうせ湯の中にぶち込んで、上から塩をかけて終わりでしょ?」
などと言われたりもしたが、これは大間違いで料理はサッパリながら、枝豆に関しては「スペシャリスト」の域に達している。
まず買って来た枝豆をざるに空け、塩を塗して軽く揉む(ここがポイント)
その間に雪平鍋に湯を沸かしておき、沸騰した湯の中に枝豆を入れ、さらに塩を入れてかき混ぜ強火のまま放置する事およそ10分。茹ですぎてふやけてしまったり、逆に生茹でのままというのがスーパーやコンビニの出来合いには多く、この火加減と湯の量などは微妙なバランスで成り立っているといえるが、ここは長年の経験から、さほど手を掛けずとも絶妙の茹で上がりを作る自信がある。
そうして待っている間に冷奴で1本目をグイと飲み干し、出来上がった枝豆をざるに空けて、ざっと冷水を通す。しばし乾かしてから鉢に空け、2本目を呑みながらじっくりと出来立てを味わう。
最近は、この夏の風物詩もシーズン問わず見かける事があるが、やはり夏にビールのつまみとして食べる枝豆こそが「枝豆の王道」であり、繰り返すが冷凍物やコンビニやスーパーで売っているような、パック入りの出来合いではダメだ。やはり旨いものを食べるためには、それなりに手間を掛けないといけない。
さらに枝豆の魅力は安さで、通常1袋300円くらいので半分~1/3もあれば充分だから、燃料費を別にすれば1日当たりたったの100~150円で済む計算である。もっとも近所のスーパーはやたらと高く、1袋380円とか「茶豆」などは580円もしており、これはもう枝豆の値段とはいえない。
ところで、居酒屋などでわざわざ枝豆をオーダーする人が居るが、あの行動はまったく理解できない。折角、外食という「非日常」に身を置いているのに、なんでわざわざ、いつでも自宅で食べられる枝豆などを食べたがるのか、と思えてしまうのである。しかも「枝豆のスペシャリスト」を自認している自分としては、居酒屋などの枝豆で旨いのに出会ったためしがない。
それはともかくとして、考えてみれば6月から9月までの4ヶ月くらいは、殆んど毎日欠かさず食べているのである。1袋300円で、3日で1袋を消費する前提で計算してみると「100(円)×120(日)=12000円」となり、ナント「10年で12万」ともなると「たかが枝豆」とはいえ、毎日重なればバカにならないものである。
ところで、この枝豆というのは実は体にもかなりいいらしい。
《実は二日酔いとか悪酔い防止に役に立つ成分が、立派に含まれているのです。枝豆には、アルコールの代謝を促進させるビタミンB1、それに肝臓の働きを向上させるうえで役に立つコリンが豊富ですから、悪酔いや二日酔いの防止に効果的なわけです》
《枝豆は昔から心臓や風邪、咳止めに効用があると言われている。アルコールから肝臓や腎臓をまもる成分「メチオニン」を含んでいる。またビタミンB1、Cを含んでおり、アルコールの酸化を促し肝臓に負担がかからない作用をしている。ということでビールのおつまみに枝豆は、理にかなった最適のおつまみなのです》
といった記述が、Webのあちこちに見られる。
元々、いくら呑もうと悪酔いや二日酔いなどは一度も経験したことはないが「風邪や咳止めにも効用」があるというのは初耳だった。自分があまり風邪を引かないのも、毎年6月から9月の約4ヶ月に渡って、殆ど毎日欠かさず枝豆を食べているせいだろうか?
もっとも「酒飲みには枝豆が良い」といっても、ワタクシの場合は枝豆を食べる量に比例して、酒量もドンドンと増えていくのであるから、元も子もないような気がするのだが。
0 件のコメント:
コメントを投稿