ゾロアスター教(ペルシア語:دین
زردشت
Dîn-e Zardoštドイツ語:die Lehre des
Zoroaster/Zarathustra、英語: Zoroastrianism)は、古代ペルシアを起源の地とする、善悪二元論的な宗教である。
『アヴェスター』を根本経典とする。
世界最古の預言者といわれるザラスシュトラ(ゾロアスター、ツァラトストラ)は、紀元前1600年頃から紀元前1000年頃にかけて生きた人といわれるが、その生涯の詳細についてはよくわかっていない。
しばしば、ゾロアスター教の創始者といわれ「ゾロアスター教」の呼称も彼の名に由来するが、その活動には今なお不明なところが多い。
ゾロアスター教発祥の地と信じられているのが、古代バルフ(Balkh、ダリー語・ペルシア語:بلخ Balkh)の地である。
バルフは現在のアフガニスタン北部に所在し、ゾロアスター教の信徒にとっては、ザラスシュトラが埋葬された地として神聖視されてきた。
ゾロアスター教の守護霊は「プラヴァシ」と呼ばれている。
プラヴァシは善をあらわし、この世の森羅万象に宿り、あらゆる自然現象を起こす霊的存在として、ゾロアスター教における神の神髄をあらわしていると考えられており、善のために働き、助けを求めている人を救うであろうと信じられている。
ゾロアスター教では、自分の親、子、兄弟姉妹と交わる最近親婚を「フヴァエトヴァダタ」と呼んで最大の善徳としており、聖典『アヴェスター』のウィーデーウ・ダート(英語版)(除魔の書)などで、その教義が説かれる。
アケメネス朝時代の伝承を綴った『アルダー・ウィーラーフの書(英語版)』では、ニーシャープールの聖職者ウィーラーフの高徳の中で、最も称賛されるのが七人の姉妹と近親婚を実行したこととされる。
また、彼は冥界の旅の中で天国で光り輝く者達を見たが、その中に住まう者として近親婚を行った者の姿があった。
反対に、近親婚を破算にした女が地獄で蛇に苛まれている記述があり、その苦痛は永遠に続くという。
ゾロアスター教の影響下にあった古代ペルシャでは、王族、僧侶、一般の人々など階級の区別なく、親子・兄弟姉妹間の近親婚が行われていた。
ゾロアスター教の聖典とされるのが『アヴェスター』である。
サーサーン朝期に編纂されたと考えられる『アヴェスター』は、ザラスシュトラの言葉と彼の死後に叙述された部分とによって構成され、全部で21巻あるとされ、約4分の1が現存している。
ゾロアスター教の教義の最大の特色は、善悪二元論と終末論である。
経典『アヴェスター』によれば、世界は至高神であるアフラ・マズダー、およびそれに率いられる善神群(アムシャ・スプンタ)と、大魔王アンラ・マンユ(アフリマン)および悪神群の両勢力が対峙し、互いに争う場であり、生命・光と死・闇との闘争であるとされる。
ゾロアスター教の影響を受けたマニ教は、やはり徹底した二元論的教義を有しており、宇宙は光と闇、善と悪、精神と物質のそれぞれ2つの原理の対立にもとづいており、光・善・精神と闇・悪・肉体の2項がそれぞれ画然と分けられていた始原の宇宙への回帰と、マニ教独自の救済とを教義の核心としている。
--------------------------------------------------
◆善悪二元論とゾロアスター教の神々
ザラスシュトラによれば、最初に2つの対立する霊があり、両者が相互の存在に気づいた時、善の霊(知恵の主アフラ・マズダー)が生命、真理などを選び、それに対してもう一方の対立霊(アンラ・マンユ)は死や虚偽を選んだ。
これにより善悪2神の抗争の場である、この世界が形作られた。
◆アフラ・マズダーと善神群
アフラ・マズダーはゾロアスター教の主神で、自らの属性を7つのアムシャ・スプンタ(七大天使、不滅なる利益者たち)という神々として実体化させ、天空、水、大地、植物、動物、人、火の順番で創成した、世界の創造者である。
アフラ・マズダーを補佐する善神(アムシャ・スプンタ)としては、次の7神がある。
・スプンタ・マンユ:「聖霊」を意味する人類の守護神で、アフラ・マズダーと同一視されることもある。
・ウォフ・マナフ : 「善なる意思」を意味し、動物界の統治者でアフラ・マズダーの言葉を人類に伝達する役割を担っている。常に人間の行為を記録しており、やがて訪れる「最後の審判」で、その記録を詠みあげるとされる。
・アシャ・ワヒシュタ(アシャ):「宇宙を正しく秩序づける正義」に由来し、天体の運行や季節の移り変わりを司る。「聖なる火」の守護神。虚偽の悪魔ドゥルジに対峙する。
・スプンタ・アールマティ:代表的な女神(女性天使)。「献身」「敬虔」の名の通り、宗教的調和や信仰心の強さ、さらに信仰そのものを顕現する。大地の守護神となっており「背教」と「推測」の悪魔タローマティと対立する。
・クシャスラ(フシャスラ・ワルヤ):「理想的な領土ないし統治」に由来し「天の王権」を象徴する。アフラ・マズダーによる「善の王国」建設のために尽力する。金属ないし鉱物の守護神。
・ハルワタート:「完璧」を意味する女性の大天使。アムルタートとは密接不可分とされる。水の守護神。
・アムルタート:主神アフラ・マズダーの子で、名は「不死」に由る。植物の守護天使で、ハルワタートと力を合わせて地上に降雨を齎す。また善神の象徴は炎とされ、そこから火の崇拝が生まれている。悪神アエーシュマの影響で成立したと考えられる。
善神と対峙する悪魔は、以下の通りである。
・アンラ・マンユ(別名:アフリマン、アーリマン):ゾロアスター教における大魔王である。虚偽、狂気、凶暴、病気など、あらゆる悪や害毒を創造する。
・アエーシュマ:怒りと欲望を司り、人間を悪行に誘う。天使スラオシャとは対立関係にある。
・アジ・ダハーカ: 3頭3口を有し、口からは毒を吐き出す。残忍でずる賢く、地上にあっては人間の姿をして善人をそそのかす悪魔である。
・ジャヒー:女悪魔で売春婦の支配者。婦人に月経の苦しみを与えたとされる。
・タローマティ:アヴェスター語で「背教」を意味する。女性天使アールマティと対立関係にある。
・ドゥルジ:疫病をもたらす女の悪魔。天体運行を担うアシャとは対立関係にある。
・バリガー:女悪魔の総称。ドゥルズーヤー、クナンサティー、ムーシュは、その中でも「三大バリガー」として恐怖の対象となった。
※Wikipedia引用
0 件のコメント:
コメントを投稿