パンドーラー(古希: Πανδώρα, Pandōrā)は、ギリシア神話に登場する女性で、神々によって作られ人類の災いとして地上に送り込まれた。
人類最初の女性とされる。
パン(Παν)は「全てのもの」であり、パンドーラーは「全ての贈り物」を意味する。
また日本では、長音符を付けずに「パンドラ」とも表記されている。
かつては地母神であり、冥界の相を強く打ち出した地下に住む太女神だったとされる。
パンドーラーの神話
プロメーテウスが天界から火を盗んで人類に与えた事に怒ったゼウスは、人類に災いを齎すため「女性」というものを作るよう、ヘーパイストスに命令した。
ヘーシオドス『仕事と日』(47-105)によれば、ヘーパイストスは泥から彼女の形をつくり、神々は彼女にあらゆる贈り物(パンドーラー)を与えた。
アテーナーからは機織や女のすべき仕事の能力を、アプロディーテーからは男を苦悩させる魅力を、ヘルメースからは犬のように恥知らずで狡猾な心を与えられた。
そして、神々は最後に彼女に決して開けてはいけないと言い含めて、ピトス(「甕」の意だが後代に「箱」といわれるようになる)を持たせ、プロメーテウスの弟であるエピメーテウスの元へ送り込んだ。
美しいパンドーラーを見たエピメーテウスは、プロメーテウスの「ゼウスからの贈り物は受け取るな」という忠告にもかかわらず、彼女と結婚した。
ある日パンドーラーは、好奇心に負けて甕を開いてしまう。
すると、そこから様々な災い(エリスやニュクスの子供たち、疫病、悲嘆、欠乏、犯罪などなど)が飛び出した。
しかし「ἐλπίς」(エルピス)のみは縁の下に残って出て行かず、パンドーラーは甕を閉めてしまった。
こうして世界には災厄が満ち、人々は苦しむことになった。
ヘーシオドスは「かくてゼウスの御心からは逃れがたし」という難解な言葉をもって、この話を締めくくる。
最初の女性であるパンドーラーが、人類に災厄を齎したという神話が作られたのは、ヘーシオドスが徹底した女嫌いだったためとされる。
ヘーシオドスは『神統記』(570–615)においてもパンドーラーについて触れ、神々から遣わされた女というものが、いかに男たちの災いとなっているかを熱弁している。
バブリウスの『寓話』は、これとは違った物語を説く。
パンドーラーは、神々からの祝福が詰まった箱を与えられる。
しかしエピメーテウスが、この箱を開けてしまう。
祝福は飛び去ってしまったが、ただエルピスだけは残って「逃げてしまった良きものを我々に約束した」という。
その後、パンドーラーはエピメーテウスと娘ピュラーと、ピュラーと結婚したデウカリオーンと共に大洪水を生き残り、デウカリオーンとピュラーはギリシア人の祖といわれるヘレーンをもうけた。
パンドーラーの箱(箱か壷か)
箱に関しては、本来は甕である。
ヘーシオドスの著書『仕事と日』の文中では、古代ギリシア語で「πίθος(ピトス(壷、甕))」という表記がされている。
これが、パンドーラーの箱について触れられている最古の書物だと言われる。
最初に「箱」と記述されたのは、ルネサンス時代、ロッテルダムのエラスムスがパンドーラーの物語をラテン語で叙述した際、ピトスの訳語としてラテン語「pyxis(ピュクシス)」を用いた際であり、これ以後「箱」の語が用いられるようになった。
最後に残ったエルピスの諸説
パンドラの箱の物語は、多分に寓意的である。
特に箱に残ったエルピスを、どう解釈するかで物語の理解が分かれる。
古典ギリシャ語の「エルピス」は「予兆」とも「期待」とも「希望」とも訳され得る。
ちなみに、英語圏ではエルピスは「Hope」(希望)と呼ばれている。
希望説
数多くの災厄が出てきたが、最後に希望が出て来たので人間は絶望しないで生きる事が出来るとされる。
特にバブリウスの物語は「実際の幸福は逃げ去ったが、いつかは幸福が手に入るという希望が残っている」と解釈することができる。
また希望が甕の外に出ず、中に閉じ込められたままでは機能しないのではないかという点に関しては「希望が人間の手元に残った」という解釈が一般的である。
期待説(偽りの希望説)
ゼウスが最後に入れた、最大の災厄は偽りの希望とされる説。
このため人々は絶望する事もできず、空虚な期待を抱きながら生きなければならない。
希望を災厄とする説
そもそも希望は災厄とする説。
希望がある為に未来がわからず諦めることを知らない人間は、永遠に希望とともに苦痛を味わわなければならない。
プロメテウスが希望を残したとする説
元々、災厄は世界に満ち溢れていたが、プロメテウスが甕の中に隠し人間の世界に行かないようにしていた。
プロメテウスは、捕らえられる前に甕が再び開けられてしまった時のため、甕の中に希望を忍び込ませていた。
予兆説
予兆説は、箱の中に残されたので外の世界には希望があるとする見方もされる。
予知説(前兆説)
残されていたのは、未来を知る予知能力であるとする説。
未来で何が起こるか分かってしまうと、人間は絶望して生きる事を諦めてしまう。
しかし前兆が最後に残されていたため、人々は絶望しないで生きられる。
ゼウスが予兆を残したとする説
ゼウスが最後に予兆が残るように仕向け、外の世界に希望を残したとされる説。
その為、人間は結果が分からなくなり、無駄な努力もしなければならなくなった。
現代では神話になぞらえて「開けてはいけないもの」、「禍いをもたらすために触れてはいけないもの」を意味する慣用句として「パンドラの箱」という言葉が使われている。
またパンドラウイルス属は、発見によって生物の定義に「混乱が齎された」ため、パンドーラーにちなんで命名された。
※Wikipedia引用
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