2018/02/13

日本型食生活の変化/農林水産庁Web

II 食生活と食材の変化

1 日本型食生活の変化

我が国の食生活について、ここ半世紀ほどの間に、どのような変化があったのか触れてみたい。昭和208月、日本は終戦を迎えたが、戦後の貧しい食生活も経済の復興とともに徐々に改善され安定した。昭和30年代後半からは、高度経済成長によって所得水準は向上し、日常生活が大変豊かになるなかで、日本型食生活といわれる米、いも類、豆類、野菜、果物、魚介類、味噌、醤油を中心に、四季折々の旬の食材を使用した栄養バランスの良い食生活から、パン、乳製品、肉類、油脂類中心の欧米型の食生活へと急激に大きく変貌した。また、輸入の自由化によって世界各国から多種大量の生鮮食料品等が輸入され流通するようになり、食生活は様変わりした。

 

近年においては、大量生産、大量消費が経済の美徳とされ、多種多様の美味食材をはじめブランド食品、有名店のお惣菜、冷凍食品、加工食品、インスタント食品等が大量に溢れかえり1億総グルメ化する一方で、ファーストフードや簡便食も好んで受け入れられるようになり、また、サプリメントや健康食品も数多く出回っている状況にある。

 

現在、バブル経済の破綻から長期にわたる経済不況が続いているにもかかわらず、食は大変華美で贅沢に、そして便利なものになっている。そのような状況のなかで、いま、食のあり方への見直しや安全性、健康への関心が益々高くなり「ほんまもんの食」が求められている。

 

1)主要食料の国内供給量の変化

国民1人当たりの主要食料年間供給量の推移を見てみると、戦前の昭和10年当時は主食の米が抜きん出て多く、次いで野菜、いも類で、果物、魚介類となっていた。終戦直後の昭和21年には生産手段や労働力不足もあり、食料品の供給は全般的に減少しているが、米の代用食品であったいも類の供給が大きく伸び、また、戦後のパン食の普及で小麦も増加している。

 

戦後の復興期を経て、経済の高度成長期に入ると生活も安定し、供給量は全般にのびている。昭和35年には米の供給は戦前程度まで回復し、小麦も大きく増加している。野菜は戦前の3割の増加、魚介類及び肉類は23倍にも伸びており、特に牛乳・乳製品は7倍と大きく伸び、食生活の内容がガラリと変わった。

 

その後、経済発展が続き、昭和55年頃は生活が大変豊かになる中で、米、いも類の供給が減少する一方で、野菜、果実、魚介類が増加、特に肉類は4倍強に、油脂類、牛乳・乳製品が3倍前後と急激に増加している。国民の食料消費は、主食である「米」以上に野菜を食べ、「米」と同程度の牛乳・乳製品を消費し、魚介類、果物、肉類も多量に摂取するようになるなど、より健康的で豊かな食生活へと画期的に変化しており、食生活の高度化と欧米化が伸展した。

 

平成2年のバブル経済の崩壊以降は、消費生活の見直しと健康面の配慮(生活習慣病予防)等から、野菜や魚介類の供給量の増加傾向もやがて反転、最近では野菜、果物、魚介類と同じように、肉類や牛乳・乳製品、油脂類、砂糖類も頭打ちもしくは微減傾向を示している。

 

しかし、戦前の食生活と比べると、牛乳・乳製品は戦前の30倍、油脂類は20倍、肉類は15倍、鶏卵が8倍と大幅に伸長しているが、その一方で、日本的食生活の主食である米は半減、また日本的調味料の象徴でもある味噌、醤油の供給量は減少を辿っている。

 

2 我が国の主要食料の1人当たり年間供給量(単位:kg

昭和10(1935)

米:126.3、小麦:10.6、いも類:28.1、野菜:74.8、果物:22.3、魚介類:13.9、肉類:2.0、鶏卵:2.3、牛乳・乳製品:3.2、砂糖類:13.3、油脂類:0.8

 

昭和21(1946)

米:92.7、小麦:14.6、いも類:60.6、野菜:55.1、果物:6.9、魚介類:9.3、肉類:0.9、鶏卵:0.4、牛乳・乳製品:1.6、砂糖類:0.9、油脂類:0.1

 

昭和35(1960)

米:115.0、小麦:25.8、いも類:32.3、野菜:99.6、果物:22.3、魚介類:27.8、肉類:5.0、鶏卵:4.9、牛乳・乳製品:22.3、砂糖類:15.1、油脂類:4.3、みそ:8.7、しょうゆ:13.6

 

昭和55(1980)

米:78.9、小麦:32.2、いも類:17.3、野菜:112.2、果物:39.2、魚介類:34.6、肉類:22.5、鶏卵:14.7、牛乳・乳製品:62.1、砂糖類:23.3、油脂類:13.8、みそ:6.0、しょうゆ:11.0

 

平成12(2000)

米:64.6、小麦:32.6、いも類:21.1、野菜:101.5、果物:41.5、魚介類:37.2、肉類:28.8、鶏卵:17.0、牛乳・乳製品:94.2、砂糖類:20.2、油脂類:15.1、みそ:4.3、しょうゆ:8.2

 

平成21(2009)

米:58.5、小麦:31.8、いも類:18.4、野菜:91.7、果物:39.2、魚介類:30.0、肉類:28.6、鶏卵:16.5、牛乳・乳製品:84.8、砂糖類:19.3、油脂類:13.1、みそ:3.5、しょうゆ:6.6

資料:農林水産省「食料需給表」

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