ローマ神話での対応と別名
ローマ神話では、遙か古くからエトルスキー系の知恵と工芸を司る女神ミネルウァが、アテーナーに対応する女神として崇拝されていた。ミネルウァの神殿も、やはり都市の中心の丘の上にあるのが普通で都市守護者であった。ロマンス語ではミネルウァは、ミネルヴァという発音になる。ラテン語:Minerva、英語読みはミナーヴァ。ミネルウァの聖なる鳥は、やはりフクロウである。
アテーナーは、様々な別名を持つ。イオニア方言系のホメーロスは、アテーネーと呼び、あるいは方言形でアターナーとも呼ばれる。またアテーナイアーとも呼ばれる(この名のイオニア方言形は、アテーナイエーである)。アテーナイアーを約めてアテーナーと呼ぶのだともされる。
それ以外に、パルラス・アテーネーの形でホメーロスが歌うように、パラス(Pallas)という別名がある。トリート・ゲネイア(トリート生まれの者の意)、トリートーニスなどの別名も持つ。これらの名前が何の意味かは色々な解釈があるが明確には分からない。ただ海神トリートーンや、アムピトリーテーなどと同じ語幹から造られている可能性が高く「水・水辺」に関係する名前だと解釈されている。
パラスとパラディオン
アポロドーロスによれば、アテーナーはトリートーンの娘パラスと一緒に育てられた。二人は親友となり、戦の技に励んでいたが喧嘩となった。パラスが一撃を女神に与えようとした際、ゼウスは危惧して空よりアイギスを差し出した。パラスは驚き、直後のアテーナーの攻撃が彼女の命を奪った。女神は親友の死を悲しみ、パラスに似せてパラディオンと呼ばれる木像を造った(パラディオンとは、イーリオスを建設したイーロスが「徴を示してほしい」とゼウスに祈ると、天から降って来た木像である)。フランスのトランプでは、パラスの名前でスペードのクイーンのモデルとされていて、一般的なカード(インターナショナル・フェイス)では、クイーンの中で唯一武器を所持している。
ギガントマキアー
ティーターン族をタルタロスに幽閉したゼウスに対して、ガイアは怒り多くのギガース達を生み出してゼウスを脅かし、戦をけしかけた。これがギガントマキアーである。この時、アテーナーは、ギガースたちの中で最も強力なエンケラドスと戦い、シケリア島を投げつけて、これを圧殺した。またトラーキアにあっては、不死であったアルキュオネウスをヘーラクレースとともに引きずり出し、打殺したとされる。また、アテーナーはギガースの一人パッラースを殺して、その皮で盾を作ったため「パラス・アテーナー」と名乗るようになったともいわれる。
エリクトニオス
ある日、アテーナーはヘーパイストスの元に、武器の発注に訪れる。ところが妻のアプロディーテーと不仲だったヘーパイストスは、欲求不満だった事もありアテーナーに迫ったのである。処女の誓いを立てているアテーナーは逃げ出し、ヘーパイストスは足が不自由なため、女神の敏捷な動きにはついていけなかったが何とか追いつき、アテーナーの足に1週間溜めに溜めた精液をぶちまけた。何とか逃げ切ったアテーナーは、その場にあった羊皮で汚れた部分を拭いて地面に投げ捨てた。すると、その場所が盛り上がり、そこからエリクトニオスが生まれた。エリクトニオスは大地から生まれた者の証として、下半身が蛇であったと言われる。望んでもいない相手との子供だったが、アテーナーはエリクトニオスを育てることにする。
アテーナーはエリクトニオスを箱に入れて、アテーナイ王ケクロプスの3人娘に『決して、開けてはいけません』と念を押して預けた。しかし3人の娘達は好奇心に勝てず、箱を開けてしまう。びっくりして悲鳴を上げる娘たちの声に気付いたアテーナーは、アテーナイにある自分の神殿で育て、のちのエリクトニオスはアテーナイの王になった。そして父であるヘーパイストスについて鍛冶場でも修行し、馬で引くギリシア戦車を発明した。
その他
•英雄たちに対しては好意的で、ペルセウスのメドゥーサ退治の際には表面が鏡のように磨かれた盾を貸し与え、ヘーラクレースのステュムパーリデスの鳥退治の際にはヘーパイストスの作った真鍮の銅鑼を与え、ベレロポーンにペーガソスを調教できる黄金のくつわを与えたり、オデュッセウスに助言をして妻に合わせたりしている。
•アテーナーは神話の中では自由奔放で非常に気が強く、プライドの高い一面を見せている。例えばアレースには「勝手気ままに振る舞っている」と指摘され、メドゥーサやアラクネーなどの自分と張り合った人物に対しては、容赦なく罰を与えている。
•アテーナーは、ギリシャの他の神々がそうであるように傲慢で自らを貶める存在には容赦ない報復を行うが、一方でゼウスの嫡男である同じ戦の神のアレースが血なまぐさい戦いの残忍さを象徴する神であるのに対し、アテーナーは理知的で気高い戦士として登場する。海の神ポセイドーンとの争いでは、ポセイドーンが馬を作りだし人間に与えたのに対し、アテーナーはオリーブの木を作り出し人間に与え勝利するなど、思慮深い面を見せる。アテーナーの信仰では学者は啓示を、裁判官は明晰を求め、軍人は戦術を磨こうとアテーナーに祈りを捧げたと言われる。
※Wikipedia引用
0 件のコメント:
コメントを投稿