2018/02/04

トロイ戦争


出典 http://www.vivonet.co.jp/rekisi/index.html

トロイ戦争(トロイア:Troia
 海の女神テティス(Thetis)が、ギリシアの王ペレウスと結婚する。女神と人間の結婚式なので、神々やギリシアの王様たちがやって来て大いに盛り上がる。しかし、一人だけ宴会に呼ばれなかった女神がいた。嫉妬と争いの女神エリス(Eris)。彼女は招待されなかったことに腹を立て、宴会場に黄金のリンゴを投げ込んだ。突然、転がり込んできた黄金のリンゴ、そこには「最も美しい女神へ」と書いてある。

 「そのリンゴは私のもの」と、3人の女神が名乗りを上げた。まずはゼウスの妻ヘラ、女神の中では一番偉い。次がアテナ、知恵と戦いの女神。そして愛と美の女神アフロディテ。

 「私が一番美しいわよ」と、もめるが決着がつかない。3人はゼウスに「誰が一番きれい?」って聞くが、ゼウスも困りはてる。一人を選べば、残りの二人に恨まれる。そこで、ゼウスは美の判定者に決めさせることにした。判定者は羊飼いの少年パリス。

開戦
 女神たちはリンゴを手に入れるため、パリスに買収工作をする。
  
・ヘラは「世界の支配者にしてあげる」
 ・アテナは「あらゆる戦いに勝てる力を与えよう」
 ・アフロディテは「世界一の美女をあなたの妻に」

 パリスは世界の支配よりも、勝利よりも、美女を選択した。

 最も美しい女神はアフロディテに決定、パリスはアフロディテの手引きで世界一の美女を手に入れ、トロイに連れ去った。その美女はスパルタ王メネラオスの妻ヘレネ、パリスは実はトロイの王子だった。

 妻をさらわれたメネラオスは怒り、兄のミケーネ王アガメムノン(Agamemnon)に相談する。ギリシアの盟主アガメムノンは、トロイ攻略を決断した。

 ギリシア軍がトロイに出帆しようとした時、アルテミスの怒りで逆風が吹き船出できなくなった。アガメムノンは怒りを鎮めるため、娘のイーピゲネイアを海に捧げた。妻のクリュタイムネストラは、アガメムノンを深く恨んだ。

アキレウスとヘクトル
 ギリシア軍には、英雄アキレウス(アキレス:Achilleusがいた。アキレウスは宴会の主役テティスとペレウスの子。テティスは、人間である我が子を不死身にしようと、生まれるとすぐに不死の泉に浸けた。その時テティスはアキレウスの足首をつかんでいた。そこだけが泉につからず、唯一の弱点となった。これがアキレス腱

 トロイの総大将はパリスの兄のヘクトル(Hektor)で、老齢のトロイ王プリアモスに代わって全軍を指揮し、ギリシア軍を苦しめた。ヘクトルはアキレウスの親友パトロクロスを破った。アキレウスは烈火のごとく怒り、ヘクトルを一騎打ちで倒して、その屍を戦車で引きずりまわして辱めた。その夜、プリアモスはアキレウスの陣に行き、ヘクトルの遺骸を引き取った。ヘクトルは、トランプのダイヤのジャックのモデルになっている。

 その後もアキレウスの活躍は続き、トロイの武将を次々と討ち取っていった。ある日、トロイの城門で戦っていたアキレウスを狙ってパリスが矢を放った。矢は彼の唯一の弱点である、アキレス腱を射抜いた。無敵のアキレウスも、これが致命傷となって絶命した。

木馬の計
 トロイ戦争が始まって10年が過ぎた。両軍とも名だたる英雄達は、次々と死んでいった。それでも決着がつかない。そこでギリシアの名将オデュッセイウスは、木馬の計を考えた。ギリシア軍は、撤退するふりをしてトロイの海岸を引き払い、浜辺に大きな木馬を残した。木馬の中には、ギリシア兵が隠れている。トロイ軍は、その木馬を戦利品として城内に持ち込んだ。

 その夜、勝利の宴会が開かれ、トロイの兵士たちは酔いつぶれた。トロイが寝静まった深夜、木馬に隠れていたギリシア兵が這い出してきて城門を開いた。外で待機していたギリシア軍が、一斉に城内に乱入した。不滅のトロイは炎上して滅んだ。

ラオコン(Laocoon
 トロイのアポロン神殿の神官ラオコンは、木馬の計を見破り、木馬の城内搬入に反対した。ギリシアを味方する女神アテナはこれを怒り、ラオコオンの両目を潰した。さらに2頭の蛇の怪物に、ラオコオンと子供たちを食べさせた。トロイの英雄アイネアスは、燃えさかる祖国に涙しながら脱出した。そして、多くの苦難を乗り越えてカルタゴからイタリアに渡り、その子孫がローマを建国した。彼は女神アフロディテと、トロイの王族アンキセスとの間に産まれた子供。

ホメロス(Homeros)
 アキレウスの活躍を中心にトロイ戦争を描いた叙事詩がイリアスで、作者はBC8世紀のギリシアの詩人ホメロスである。トロイの首都はイリオス(Ilios、またはイリオン)で、イリアスというのは「イリオスの話」という意味。姉妹作オデュッセイアは、ギリシアの知将オデュセイウスが、トロイから故郷に戻るまでの20年間の苦難の旅を描いた物語。彼の妻がペネロペ。夫の留守中に手を出す多くの男を拒否し、無事の帰りを待ち続けた。

カッサンドラ(Kassandra)
パリスの妹カッサンドラはアポロンに愛され、未来を予知する能力を与えられた。そこで彼女は自分の未来を予知してみると、愛が冷めて自分を捨てていくアポロンの姿が見えた。彼女はアポロンの愛を拒絶、アポロンは怒り彼女の予言を誰も信じないようにする呪いをかけた。
 
カッサンドラは、「木馬はトロイを破滅する」と予知して、城内に入れることを反対した。しかし、誰も信じてくれなかった。トロイが落城すると、彼女はアガメムノンの戦利品となり、ミケーネに連れ去られた。凱旋したアガメムノンは、彼の妻クリュタイムネストラと情夫のアイギストスに殺された。悲劇の王女カッサンドラも、二人に殺害された。カッサンドラは「不吉、破局」といった意味の言葉に使われている。

 クリュタイムネストラは、トロイ戦争のきっかけになったヘレネの姉で、母はゼウスに愛されたレダである。

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