椿山荘(ちんざんそう)は、東京都文京区関口二丁目の小高い丘にある庭園。敷地内には大規模な宴会・コンベンション施設を持つホテル椿山荘東京を併設している。
沿革
武蔵野台地の東縁部にあたる関口台地に位置し神田川に面したこの地は、南北朝時代から椿が自生する景勝地だったため「つばきやま」と呼ばれ、江戸時代には久留里藩黒田家の下屋敷があった。
明治維新を経て西南戦争の功により、元勲の山縣有朋は年金740円を与えられ、それを元手に1878年(明治11年)旧屋敷を購入。「椿山荘」と命名して、趣味である作庭を行った。1918年(大正7年)には、大阪を本拠とする藤田財閥の二代目当主藤田平太郎男爵がこれを譲り受け、東京での別邸とした。
1948年(昭和23年)に藤田興業(現:DOWAホールディングス)の所有地となり、その後1万余の樹木が移植され、1952年(昭和27年)から宴会場・結婚式場の営業を開始。1955年(昭和30年)に藤田興業の観光部門が分離して、小川栄一が初代社長となり藤田観光が発足すると、椿山荘の運営は移管された。
70年代に入ると藤田観光では、椿山荘内にも宿泊施設が早晩必要であるという考えから、1978年(昭和53年)に敷地内の再開発計画に着手。1983年(昭和58年)に宴会棟を完成させ、フォーシーズンズ・ホテルズ&リゾーツとの提携を下に、1992年(平成4年)1月16日、ラグジュアリーカテゴリーの旗艦ホテルである「フォーシーズンズホテル椿山荘東京(FSH椿山荘)」を開業した。しかし、開業から20年が経過し、国内に置いて数多くの外資系リゾートホテルが台頭し、顧客のニーズが多様化していることを踏まえ、藤田観光は2012年(平成24年)12月31日を以って、フォーシーズンズとの業務提携契約を終了。翌2013年(平成25年)1月1日、FSH椿山荘をホテル椿山荘東京にリブランド、総合宴会施設である椿山荘もホテルと一体運営化した。
椿山荘の三重塔(登録有形文化財)
庭園は一般公開されており、椿や桜など植物、史跡等を鑑賞できる。庭園の頂上に建つ三重塔は、元々広島県賀茂郡入野(現東広島市)の竹林寺にあった塔で、創建時期は明らかではないが、平安前期に小野篁が創建し平清盛が第1回の修復を執り行ったという言い伝えがある。大正時代に強風にあって三層目が大破してしまったものを藤田平太郎が譲り受け、1925年(大正14年)に椿山荘に移築し、三層目を復元した。太平洋戦争末期、1945年(昭和20年)5月25日の空襲で発生した早稲田の火災の際も、木立に囲まれた環境もあり奇跡的にも三重塔と御神木は焼失を免れ、2003年(平成15年)国の登録有形文化財に登録された。
塔の建立年代は、繰形の特徴などから室町時代末期のものと推定されていたが、2010年(平成22年)から翌年にかけて行われた竹中工務店による耐震補強・改修工事の際、年輪年代調査も併せて実施され、その結果、1420年頃(室町時代前期)の部材が使われていることが判明した。
暖かい日差しの中、青い空の下で美しい景色を見たいと思った。桜の木が植わる神田川を越え、目白の高台へと歩く。そこにはホテル椿山荘がある。椿山荘の庭園は7万平方メートルの林泉回遊式庭園で、山県有朋公爵から藤田男爵が受け継いだものである。四季折々美しく咲く44種類の花木の観賞を楽しむ事ができる。
椿山荘敷地内の椿山荘プラザから庭園に出ると、水が流れる林道の間を抜ける道が続く。この水は秩父系の湧水である。左手にはほたる沢があり、夏の夜はほたるが光る。右手をみると信長の弟織田有楽ゆかりの塔と伝えられている、小さな十三重の塔がある。そのまま歩くと赤い京風の弁慶橋があり、料亭錦水へとつながる。錦水の入り口近く右手に石灯籠、入り口には芭蕉の筆塚がある。
弁慶橋から離れ、家に向かう道をいく。途中に伊藤若沖の下絵によるものと伝えられる羅漢石がある。苔生した石のようすが歴史を物語っているようである。先へすすむと、小さな水車がコトンコトンと音をたてて回っている。とても心地よい響きである。道の敷き詰められた小石を踏む感触を楽しみながら歩いていくと、勢いのいい水の流れがする方に庭園レストラン(離れ家)と、そば処無茶庵がある。心静めながら食事が楽しめそうな、昔の家のような造りの建物である。
離れ家から三重塔へ向かう。途中、チャペルがあり、純白のウエディングドレスをまとった新婦と白いタキシードを着た新郎が写真を撮られていた。目の前は幽翠池があり、池の周りの色鮮やかな木々の色と、新郎新婦の白いドレスの色がよく調和していた。右手に滝の音を聞きながら、小石の敷かれた階段を昇りきったところに三重塔がある。この塔は室町時代のものとされる。とても古い木材でできており、重みを感じる立派な塔である。
観チャペル近くの滝へ戻る。椿山荘プラザの中へ続くトンネルに入ると滝が裏側から見える。隅々まで趣向が凝らしており、とても楽しめる庭園であった。
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