卸売市場取引の流れ
(2)卸売市場外の流通(青果物・水産物)
青果物や水産物を中心とした食材の流通は、卸売市場の卸売業者が集荷して流通する卸売市場流通の比率は極めて高いものであったが、社会経済的な条件や技術革新等の変化を受けて、近年、流通経路はより複雑多岐にわたっており、市場外流通が大きく伸びてきている。
市場外流通の最も単純なものは、消費者が生産者から直接生鮮食料品を購入するものであり、産地での朝市、生産者直売所等がある。最近では、道路沿いにある「道の駅」での販売や、インターネット販売をはじめとする産地の業者等からの宅配便による通信販売が大きく伸びている。
出荷者(生産者・出荷団体・集荷業者)が卸売市場を通さずに大口需要者、加工業者と食材や加工用原料の供給契約するものがあり、例えば、惣菜用、レストラン業務用、漬物加工用食材などである。また、小売業者が産地直送産品として販売用に契約購入するもの、料理店が産地からの食材を直接購入するものなどもある。
産地市場での買付業者(仲卸業者、小売業者、加工業者等)から卸売市場を通さずに直接消費地の小売業者、消費者に販売するものもある。
輸入品については、卸売市場を経由する物のほか、商社から大口需要者、加工業者、小売業者に直接取引する流れもある。
青果物については、全国農業協同組合連合会が管理・運営する全農流通センターを経由して、小売業者等に流通するものもある。
(3)食肉市場の主な流通(食肉)
食肉(牛肉、豚肉)の中央卸売市場への流通経路の基本パターンは、生産者が生体を生産者団体や集出荷団体(家畜商)また家畜市場に売却し、そこを経由して卸売市場に生体として入荷するほか、国の補助を受けて設置された、と畜解体設備を有する流通施設である「食肉センター」や、部分肉取扱業者を通じて卸売市場に枝肉や部分肉が入荷する。
また、生産者から食肉センターや、と畜場へ生体で売却された後、食肉加工業者等を経由して大口需要者、量販店、小売店等に届き、最終的に消費者に販売されるという「場外流通」がある。食肉市場は従前から、この場外流通が主流である関係上、卸売市場の経由量は低くなっている。なお、輸入食肉(冷蔵、冷凍部分肉)は商社を通じて食肉加工業者に売却され、以下は同様に流通する。
中央卸売市場の主な流通経路(食肉)
中央卸売市場の卸売業者は、生産者(出荷団体等)から集荷した生体を市場内で枝肉、部分肉に食肉処理をする。また、食肉センター及び部分肉取扱業者から枝肉や部分肉を集荷する。卸売業者はこれらの枝肉や部分肉を、せり売りまたは相対売りにより、適正な卸売価格を付けて売買参加者(卸売業者及び小売業者等)に販売する。
売買参加者は、買い付けた枝肉については部分肉に加工処理し、食肉加工メーカーや食肉問屋へ販売するほか、大口需要者や小売業者やレストラン等飲食店に販売する。消費者には精肉に加工処理したものが販売される。
内臓・原皮については、関連事業者を通じ、内臓小売業者、原皮加工業者等に販売され、消費者に届く。
京都市中央卸売市場第二市場(食肉)の事例(平成23年4月現在)
卸売業者数 1社 (京都食肉市場株式会社)
売買参加者 260名 (卸売及び小売業者等、京都食肉買参事業協同組合)
関連事業者 3社 (京都副生成物卸協同組合など)
4
価格形成の仕組み
青果物・水産物である生鮮食料品は、かつては卸売市場の経由率が高かったことから、それらの価格形成には中央卸売市場の「委託集荷」による「せり売り」が中心となって決定されてきたと言っても過言ではない。
「委託集荷」は、出荷者が値段を決めずに卸売業者に商品の販売を委託することであり、販売委託の申込みがあれば拒むことが出来ない。集荷方法では、もともと委託集荷が原則であった。また、出荷者と卸売業者が値段を決めて買い取る方式を「買付集荷」と言い、平成16年以前は例外的な措置として開設者の許可が要るものであった。
中央卸売市場の主流であった「せり売り」以外の取引方法としては、卸売業者が仲卸業者である買付人と1対1で価格を交渉して決める「相対売り」がある。
近年においては、市場外流通が増加し、加工品(冷凍物など)や輸入品の増加等により、古くから中央卸売市場の取引の中核をなしていた「委託・せり方式」は減少し、「買付集荷」や「相対売り」が増加している。
せり売り比率は、青果物が平成元年度87.8%であったものが平成20年度では18.7%まで大きく落ち込んでおり、水産物も47.5%から20.8%まで落ちている。水産物は以前から相対売りが多かった。また、委託集荷比率は、青果物が平成元年度87.6%から同様に67.4%へ、水産物は42.7%から27.0%まで落ちている。水産物は以前から買付集荷が多かった。なお、京都市場の特徴は、従前から他の卸売市場に比べて委託集荷の割合、せり売りの割合が共に高いことである。
なお、委託集荷の場合は、産地には出荷奨励金として売上金の何%かを、地域開発などの名目で卸売業者から支払う。青果関係は、昔からの長い付き合いの中で委託が多くなっているようである。買付集荷の場合は、この制度の適用は無い。
食肉については、委託集荷は93.5%で、せり売り比率が85.8%であり、せり売りによる価格決定がかなり高いウエイトを占めている。
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