一般的には「難しくて、わけがわからない」と敬遠されがちながら、一部の熱狂的な信者からは「教祖」として崇め奉られているブルックナーである。確かに 「ブルックナーの音楽は、わけがわからん」と多くの人が言うのもわかるが、それは他の作曲家らと同じような鋳型に無理やり嵌め込んでブルックナーを理解しようとするからで、そもそもそこに無理があるのだろうと思う。
ブルックナーの他の交響曲と同じく、この曲も全体で優に1時間は超える大作ながら、先に触れたような解かりやすいテーマに沿って書かれているため、他の解かり難くとっつきの悪い曲に比べ最も初心者向けと言われ、演奏機会も多い。その分、マニア間の評価では「精神的な深みに欠ける曲」とイマイチ評価は高くないようだが、個人的にはお勧めできる曲である。
出典http://www.kurumeshiminorchestra.jp/
オルガン的な休止符が頻出する「ブルックナー休止」(楽想が変化する時に、管弦楽全体を休止させる手法。正式には「ゲネラルパウゼ(Generalpause)」という音楽用語で、管弦楽曲などに用いる総休止の事。「Generalpause」はドイツ語だが、英語の「General」(全体的)な「pause」(ポーズ=中止、休止)と同じ意味である。これは、楽想の違いを強調させるために使われる。
《何の前触れもなく全ての音がなくなり、また始まる。曲の中にしばしば現れる、ブルックナー独特のフェイント技。「とっつきにくい作曲家」の筆頭に上げられる理由のひとつかも。 弟子が理由を尋ねたところ、巨匠いわく
「そりゃ君、ワシは大事なことをしゃべる前には、息をたくさん吸わにゃならんからだよ」
音色を変えるため、演奏中にストップを操作する事の多い(当然、その時は演奏が止まる)オルガニストにとって、突然の休止は不自然な事ではなかったのかもしれない》
オルガンの響きのように「力強く抉る」とも表現される、オーケストラ全体による重厚な「ブルックナー・ユニゾン」(※ユニゾン(unison)・・・音楽用語で「同じ高さ」の音。また、そのような音や旋律を、複数の声や楽器で奏する事を指す)
《全ての楽器が、フォルティシモで同じ旋律(音)を奏するブルックナー得意の力技。まさにホール一杯に響く、パイプオルガンの壮大な迫力が味わえます。誰にでも書けそうな手法ですが、何と言っても最初にやったヤツが一番偉い。
音楽史上最大の「コロンブスの卵」です》
《オルガン的な発想こそ、代表的なブルックナーらしさです。10歳の頃から教会でオルガンを弾き、オルガニストとして音楽の世界へ入ってきた事が、大きく影響したのでしょう。具体的にはオルゲンプンクト(持続低音)を多用して、土台となる低音部を支え主題はユニゾンで提示したり、さらにユニゾンで音型を反復しながらクライマックスを作ってゆくところに見られます》
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